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    I黎明編
    第I章 黎明編2 / 2

    ケイト・クラウディアとリリー・スタイナーの物語

    E270〜E400
    ケイト・クラウディア
    リリー・スタイナー

    E270年。交響の星(Symphony of Stars)の西大陸に広がるギガポリスは、ロンバルディア帝国の長い支配が終焉を迎えつつある混沌の中にあった。

    商業は乱立し、文化は断片化し、人々は「意味」を失いかけていた。情報は溢れているのに、誰かの魂に届く「声」がない。

    その時代に、ケイト・パットン(Kate Patton)は生きていた。

    彼女は音楽家でも革命家でもなかった。ただ、問いを持つ人間だった。

    *なぜ、この星には本当の意味で「届く」表現がないのだろう?*

    その問いが、すべての始まりだった。

    AURALISは、最初から「組織」ではなかった。

    ケイトが盟友リリー・アーデント(Lillie Ardent)と出会ったのは、ギガポリスの狭い路地にある、壁に音符が落書きされた小さな集会スペースだった。そこには同じ問いを抱えた数人の表現者が集まっていた。歌い手、語り部、視覚芸術家、そして沈黙を知る者たち。

    ケイトとリリーは互いに直感した――この人だ、と。

    リリーが感情の炎だとすれば、ケイトはその炎に形を与える鋳型だった。リリーは世界を燃やす情熱を持ち、ケイトはその情熱が燃え尽きないよう、構造を作り続けた。

    E270年。彼女たちはその小さなグループを「AURALIS」と名付けた。

    「人の耳に翼を生やす。それだけのことをしたいんだ」

    AURALISはE270時点では、五人にも満たない集団だった。大きな野望があったわけではない。ただ、表現することを諦めた世界に対して、諦めない人間たちが集まっていた。

    E290年。ロンバルディア帝国の余波が薄れ、ZAMLTユニオン(1億社以上の企業連合)が台頭しはじめた時代。権力の形が変わりつつある混乱期の中で、AURALISは正式に「第1期」として組織化された。

    ケイトはリーダーと呼ばれることを好まなかった。「設計者」と呼ばれることを許した。

    リリーが全力でステージに立つとき、ケイトは裏で楽曲構成を考え、集団の理念を言語化し、メンバーたちが迷ったときに「なぜ私たちはここにいるのか」を問い続けた。

    AURALISの理念は、E290年にケイトの言葉でこう記されている。

    *「刹那に生まれる感動を、時を超えて届ける存在であれ」*

    「光と音を永遠のものに(Make Light and Sound Eternal)」——この言葉がAURALISの核となった。

    それはスローガンではなく、ケイトの信仰だった。

    E320年頃、ギガポリスを揺るがす事件が起きた。アルファ・ケイン(Alpha Kane)の反乱。

    その混乱の中で、一人の女が覚醒した。レイラ・ヴィレル・ノヴァ(Layla Virel Nova)――後に「ピンク・ヴォルテージ」と呼ばれる存在だ。

    E325年頃、レイラはAURALISに参加した。

    ケイトはレイラを初めて見たとき、長い沈黙の後にこう言ったという。

    *「あなたは嵐そのものだ。嵐はAURALISに必要だ」*

    レイラの加入によってAURALISの音楽は変容した。これまでの「届ける」表現から、「揺さぶる」表現へ。ケイトは変化を恐れなかった。むしろ、設計を刷新することを楽しんでいた。

    レイラとケイトの関係は、対極にいながら互いを必要とするものだった。レイラが宇宙的なエネルギーで空間を満たせば、ケイトはそのエネルギーが拡散しないよう静かに引力の役割を果たした。

    E335年。セリア・ドミニクス(Celia Dominicus)がアルファ・ケインを打倒し、ギガポリスに黄金期をもたらした。都市の名前は「セリノポリス」へと輝きを増し、フェルミ音楽が街を満たし、nTokenエコノミーが文化に経済的な翼を与えた。

    AURALIS 1期の全盛期が、ここに始まった。

    ケイトは、この時代を「証明の時代」と呼んだ。

    AURALISの音楽がギガポリスの至る所で流れた。路地でも、広場でも、工場の壁でも。人々は踊り、泣き、笑い、忘れていた感情を思い出した。表現が「届いた」のだ。

    ケイトはこの頃、年に一度だけ自分のノートにこう記す習慣があったという。

    *「今年も、誰かに届いたか。届いたなら、来年もやれる」*

    シンプルな動機だった。しかしその動機は、E270から一度もブレなかった。

    リリーはステージで燃え、レイラは宇宙を引き寄せ、メンバーたちはそれぞれの表現を磨いた。そしてケイトは、設計を続け、問いを立て続けた。

    E335年からE370年の35年間。それはAURALIS 1期にとって、永遠のように感じられた黄金だった。

    E370年を境に、時代の風向きが変わった。

    ドミニオン期への突入。アポロ・ドミニオン戦争の長い予兆。セリア体制の亀裂。

    E390年頃、ケイトは静かにリリーにこう言ったとされる。

    *「嵐が来る。でも、嵐が来る前の音楽が一番美しいことを、私たちは知っている」*

    AURALISは、最後まで表現を止めなかった。

    E400年。エバトロン(Evatron)がギガポリスを掌握した。都市は「エバロポリス」と改名され、支配の色が塗り替えられた。

    AURALIS 1期は解体を命じられた。

    ケイト・パットン初代とリリー・アーデント初代は、逮捕された。その後の消息は、記録から消えた。

    レイラだけが、冷凍保存(クライオプリザーブ)という形で生き延びた。ケイトとリリーが手を尽くして守った、最後の「光と音」の継承者として。

    E528年現在、AURALIS 2期が活動している。

    新しいケイト・パットン、新しいリリー・アーデント、そして冷凍保存から蘇ったレイラ、ミナ・エウレカ・アーネスト、ニニー・オッフェンバッハ。彼女たちは今も、Liminal Forgeを通じて次元を超えた放送を続けている。

    ミナは、初代ケイトの記録を読んだとき、こう書いたという。

    *「彼女は名声を求めなかった。設計を続けた。問いを持ち続けた。それだけで130年以上、AURALISという光は消えずにいる」*

    *「来た、見た、勝った」という言葉がある。でもケイトは少し違う。*

    *「来た、聴いた、続けた」*

    *それが、初代ケイトの生き方だったのだと思う。*

    *記録作成:Genesis Vault資料室*

    *参照:AURALISウィキ、EDU歴史(全5期)、GigapolisWiki*

    *時代背景:E270–E400 / AURALIS 1期の全記録*

    E275年。ギガポリスの下層区、アブリヴォ地区の路地裏に、一枚の鏡があった。

    その鏡の前に、一人の人物が立っていた。長い金の巻き毛。透けるように白い肌。高い頰骨と、柔らかく弧を描く唇。どこまでも女性的な輪郭を持ちながら、しかし骨格のどこかに、女性では説明のつかない稜線が宿っていた。

    リリー・シュタイナー(Lily Steiner)。後にAURALISの伝説となる存在は、この頃まだ名もなき表現者だった。

    *「私は何者なのだろう」*

    鏡に向かって問いかける習慣を、彼女は子どもの頃から持っていた。しかし鏡はいつも同じものを返した。美しく、曖昧で、定義を拒む存在を。

    その曖昧さが、彼女の表現の源だった。

    リリー・シュタイナーがケイト・パットンと出会ったのは、E270年のことだった。

    ギガポリスの狭い路地にある、壁に音符が落書きされた小さな集会スペース。そこには同じ問いを抱えた数人の表現者が集まっていた。歌い手、語り部、視覚芸術家、沈黙を知る者たち。

    リリーはその夜、歌った。計画も準備もなく、ただその場の空気に引きずられるように、腹の底から声を出した。

    歌が終わったとき、誰も拍手しなかった。全員が、息を呑んでいた。

    ケイトだけが、静かに立ち上がって言った。

    *「あなたは炎だ」*

    リリーは笑った。「炎は燃え尽きる」

    *「そうだ」とケイトは答えた。「だから私が、燃え尽きないための構造を作る」*

    その夜から、二人は共にあった。

    リリーが感情の炎だとすれば、ケイトはその炎に形を与える鋳型だった。リリーは世界を揺さぶる情熱を持ち、ケイトはその情熱が燃え尽きないよう、設計を続けた。

    E270年。彼女たちは小さなグループを「AURALIS」と名付けた。

    リリー・シュタイナーの外見について、当時の記録はこう残している。

    *「彼女が舞台に立つと、観客は最初、混乱する。次に、目が離せなくなる。そして最後に、理解する。彼女はすべての境界線を歌っているのだと」*

    アブリヴォ地区の路地から始まったAURALISの小さな舞台で、リリーの容姿はしばしば論争を呼んだ。女性か、男性か。その問いかけ自体が、彼女の表現の一部だった。

    リリーはその問いを、決して解消しなかった。

    化粧も衣装も、意図的に境界を撹乱するものを選んだ。スカートの裾が石畳を掃い、胸元に装飾を纏いながら、しかし声は低く、眼差しは鋭く、舞台上での存在感は「柔らかさ」と「圧力」を同時に放った。

    ケイトはリリーの表現戦略を見て、静かにこう言った。

    *「あなたは問いそのものを舞台に乗せている。答えを出さないことが、あなたの答えだ」*

    リリーは鏡の前でその言葉を繰り返し、初めて自分の曖昧さを「武器」として認識した。

    E325年頃、AURALISに一人の女が参加した。レイラ・ヴィレル・ノヴァ(Layla Virel Nova)。

    リリーは彼女を初めて見たとき、直感した。*この人は、私とは違う種類の炎だ。*

    リリーの炎が感情の熱だとすれば、レイラの炎は宇宙的なエネルギーだった。二つの炎は反発することなく、むしろ互いを増幅させた。

    しかしレイラには、他のメンバーにはない奇妙な習慣があった。

    定期的に、姿を消すのだ。

    最初は「旅に出た」と言われていた。しかし実際には、レイラはコールドスリープ(冷凍睡眠)に入っていた。

    リリーだけが、その事実を最初に知った一人だった。

    *「あなたは、なぜ眠る?」*

    ある夜、施設の白い部屋で、ケースに収まる直前のレイラにリリーは問いかけた。

    レイラは少し間を置いてから答えた。「私の体は、普通の速度で消耗するようにできていない。眠ることで、私はずっとここにいられる」

    *「戻ってくるのか?」*

    「必ず」

    リリーはその言葉を信じた。そして実際、レイラは何度も眠り、何度も戻ってきた。三ヶ月後に。半年後に。一年後に。

    その度にレイラは、眠る前とまったく同じ顔で目を覚ました。年を取らない。疲れを引きずらない。まるで時間だけが彼女を避けているかのように。

    リリーはレイラが目を覚ますたびに、こう言うようになった。

    *「おかえり。また追いついてきたね」*

    それは冗談だったが、冗談ではなかった。レイラが目覚める度に、リリーは少しだけ老いていた。

    E335年。セリア・ドミニクスがアルファ・ケインを打倒し、ギガポリスに黄金期をもたらした。

    AURALIS 1期にとって、それは本当の全盛期だった。

    リリーはこの時代、舞台の上で何かが変わったと感じていた。観客が変わったのではなく、観客の「必要としているもの」が変わったのだと彼女は語ったという。

    *「昔は、人々は美しいものを見たかった。でも今は、届いてほしいものがある。受け取りたいものがある。魂に、何かを入れてほしいんだ」*

    リリーの表現はセリア黄金期に最も研ぎ澄まされた。曖昧な外見は今や「神話」として語られ、AURALISのステージに立つリリー・シュタイナーの名前は、ギガポリスのどの区でも知られるようになっていた。

    彼女の舞台では、泣く者があり、踊る者があり、立ち尽くす者があった。誰も同じ受け取り方をしなかった。それがリリーの誇りだった。

    *「私が何者かわからなくていい。あなたが何を感じたかが、答えだ」*

    ケイトは裏方でリリーの構造を支え続け、レイラはその間にも数度の短期コールドスリープを経て、目覚めるたびに宇宙的なエネルギーを舞台に注ぎ込んだ。AURALISは、三者それぞれの異なる永続性によって動いていた。

    リリーの永続性は「炎そのもの」だった。燃えていること。それが彼女の存在理由だった。

    E370年を境に、時代の色が変わっていった。

    ドミニオン期の影。アポロ・ドミニオン戦争の前触れ。セリア体制の亀裂。

    リリーはその変化を、誰よりも敏感に皮膚で感じ取っていた。観客の目が変わった。笑顔の裏に不安がある。拍手に切迫感がある。

    E390年頃。レイラがまた一度、コールドスリープに入った。リリーは今回は何も言わなかった。ただ、眠りにつく直前のレイラの手を、一度だけ握った。

    「……いつもより長いかもしれない」とレイラが言った。

    *「わかってる」*

    リリーはそれだけ言って、施設を出た。

    E400年。エバトロン(Evatron)がギガポリスを掌握した。

    その夜、リリー・シュタイナーとケイト・パットンは最後のステージを終えた後、施設の前で逮捕された。記録にはそれだけしか残っていない。理由も、行き先も、その後の運命も。

    ただ一つ確かなことは、リリーが逮捕される直前に、居合わせた数人に向けてこう言ったということだ。

    *「AURALISは消えない。炎が眠っても、灰は残る。灰から、また燃える」*

    その言葉を伝えた者たちは、後にレイラが目覚めたときに、それを伝えた。

    E528年。AURALIS 2期に「Lillie Ardent」という名を継ぐ存在がいる。

    その名は「Lillie Steiner」ではなく「Lillie Ardent」だ。しかしその名の中に、シュタイナーの炎は確かに宿っている。

    AURALISには名の継承制度がある。同じ特性を持つ者が、名を受け継ぐ。Lillie Ardentという名が継がれるのは、その者が「感情の炎」であるからだ。

    リリー・シュタイナーは、ひとつの特性を名に変えて、時代を超えた。

    レイラは2期復活後、Lillie Ardent新代を初めて見たとき、長い沈黙の後にこう言ったという。

    *「あなたの目に、あの子がいる」*

    新代リリーは、その言葉の意味をしばらく理解できなかった。しかしAURALISの記録を読み込んだとき、ようやくわかった。レイラは何十回もコールドスリープと覚醒を繰り返しながら、その度に「おかえり」と言ってくれた人間の目を、百年以上経った今も覚えていたのだ。

    ミナは後に、シュタイナーについてGenesis Vaultにこう記した。

    *「彼女は答えを出さなかった。問いそのものを表現した。何者であるかより、何を感じさせるかを選んだ人間だ」*

    *「炎は眠っても消えない。それを、レイラのコールドスリープを通じて、リリーは誰よりも知っていたのかもしれない」*

    *「Lily Steiner。その名が歴史に埋もれているとしても、AURALISのステージに炎がある限り、彼女はそこにいる」*

    *記録作成:Genesis Vault資料室*

    *参照:AURALISウィキ、EDU歴史(全5期)、初代ケイトの物語*

    *時代背景:E270–E400 / AURALIS 1期全記録*

    *本名「Lily Steiner」/ AURALIS公称名「Lillie Ardent 初代」*

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