フィオナは指でスパッツの股間を軽く押さえ、
ヒルの刺激に甘い吐息を漏らしながら、
アイリスに忠告した。
「だから、アイリス……
もう降伏しなさい。
私たちに跪いて、
快楽に溺れる雌になるの。
それが、あなたの新しい役割よ」
アイリスは、
その言葉に怒りに燃えた。
瞳が鋭く光り、
ボディスーツの露出した乳首を隠すことも忘れ、
ウォーター・オーブを全力で呼び起こした。
「……フィオナ……!
あなたのような裏切り者に……
絶対に……屈しない……!!」
青いブルーワイヤが爆発的に放たれ、
アイリスはフィオナに向かって突進した。
水の矢、ブルーワイヤの鞭、爆発する水圧――
怒りに任せた猛攻が、
部屋中に嵐を巻き起こす。
しかし、フィオナは、
スライムヒルの刺激に時折腰を震わせながらも、
優雅に、軽やかに、
すべての攻撃を避けまくった。
ブルーワイヤを身を翻してかわし、
矢を尻を振ってスウェイバック、
水圧の爆発を紙一重で横に滑る。
「ふふ……んっ……はあ……
怒ってるアイリスも、可愛いわね……
でも、無駄よ♡」
アイリスは息を荒げ、
さらに激しく攻め立てるが、
フィオナの動きは完璧だった。
そして――一瞬の隙。
アイリスがブルーワイヤを大きく振りかぶった瞬間、
フィオナは低く沈み込み、
黒いスパッツの脚を閃かせた。
完璧な回し蹴りが、
アイリスの脇腹に深くめり込む。
ごしゃぁぁっ!!
アイリスの体が弧を描いて吹っ飛び、
部屋の壁に激突した。
ずどんっ!!
壁にひびが入り、
アイリスは膝をついて崩れ落ち、
苦痛に顔を歪めた。
フィオナは腰に手を当て、
スライムヒルの刺激に甘い声を漏らしながら、
勝ち誇った笑みを浮かべた。
「あんっ……はあ……
アイリス……
あなた、私には勝てないわ。
もう、観念しなさい♡」
アイリスは壁に手をつき、
怒りと屈辱に震えながら、
立ち上がろうとする。
だが、体は快楽の余韻と衝撃で、
思うように動かない。
フィオナはゆっくりと近づき、
黒いスパッツの鼠径部を、
アイリスの顔の前に突き出した。
「ほら、アイリス……
私の弱点……
いや、あなたの新しい主人よ。
これに、跪きなさい」
部屋に、
スライムヒルのちゅぱちゅぱという音と、
アイリスの荒い息遣いが、
静かに響き続けた。
アイリスの抵抗は、
フィオナの絶対的な強さの前に、
少しずつ、確実に削られていった。
アウトオブクレセント、廃墟要塞の地下拘束室。
アイリスは怒りに燃え、
ウォーター・オーブを全力で呼び起こした。
青いブルーワイヤが無数に爆発し、
矢のようにフィオナに向かって放たれる。
「フィオナ……!
あなたを……許さない……!!」
しかし、フィオナは、
黒いスパッツの股間でスライムヒルがちゅうっ、ちゅぱっと吸い付き、
腰を震わせながらも、
優雅に、完璧に、
すべての攻撃を避け続けた。
ブルーワイヤを身を翻してかわし、
矢を尻を振って避け、
爆発する水圧を紙一重で横に滑る。
「んっ……はあ……
アイリス……
攻撃、遅いわよ……♡」
アイリスは息を荒げ、
連続で攻め立てるが、
フィオナの動きは余裕たっぷり。
ヒルの刺激に時折甘い声を漏らしながらも、
劣勢のアイリスを見下ろすように微笑む。
やがて、アイリスの動きに疲れが見え始めた。
フィオナは同情するような、
しかし残酷な視線を投げ、
腰に手を当てて鼠径部を突き出した。
スライムヒルが蠢く黒いスパッツの股間を、
アイリスの顔のすぐ前に近づける。
「ふふ……アイリス、可哀想ね。
必死に抵抗してるけど、
もう限界でしょ?
ほら、私の弱点……
クリトリスを、ヒルに吸われてるのを、
よく見て」
ちゅうっ……れろぉっ……。
スパッツ越しに、
ヒルがクリトリスを執拗に吸い上げ、
フィオナの腰がびくんと震え、
甘い喘ぎが漏れる。
「んあっ……はあ……
気持ちいいわ……
でも、私はこれでも余裕よ。
あなたは……もう、
私に勝てないの」
アイリスは、
フィオナの鼠径部を凝視させられ、
屈辱感に顔を赤らめ、
歯を食いしばった。
「……っ……こんな……
下劣な……
姿で……
私を……侮辱……!」
フィオナはさらに近づき、
鼠径部をアイリスの鼻先ギリギリまで寄せ、
甘く囁いた。
「侮辱?
違うわよ、アイリス。
これは現実。
クレセントの希望だったあなたが、
私のスパッツの前で、
屈辱に震えてる……
これが、あなたの新しい位置よ♡
同情してあげる。
でも、興奮しちゃうわね」
アイリスは怒りと屈辱に体を震わせ、
再び攻撃を試みるが、
力はすでに衰え、
フィオナの余裕の笑みが、
彼女の心をさらに抉った。
フィオナはヒルの快楽に浸りながら、
アイリスの屈辱を、
ゆっくりと、味わい続けていた。
アウトオブクレセント、廃墟要塞の地下拘束室。
アイリスは怒りに燃える瞳でフィオナを睨み、
残った力を振り絞って突進した。
「フィオナ……!
その下劣なヒルを……ぶっ壊してやる……!!」
拳がフィオナの股間――スライムヒルが蠢く鼠径部に向かって振り下ろされる。
しかし、フィオナは優雅に腰をひねり、
黒いスパッツの尻を軽く振って、
紙一重で拳を避けた。
ヒルは無傷でちゅうっ、ちゅぱっと吸い付き続け、
フィオナの腰がびくんと震える。
「んっ……はあ……
アイリス、惜しかったわね……
でも、私の大事な“おまんこ守護ヒル”に、
触れられるなんて百年早いわよ♡」
フィオナは腰に手を当て、
脚を大きく開いて鼠径部をアイリスの顔の前に突き出した。
黒いスパッツの股間部分が、
ヒルの蠢きでぴくぴくと動き、
布地が湿って光り、
大陰唇とクリトリスの輪郭がくっきりと浮かび上がる。
「ほら、アイリス……
よく見て。この“おまんこ”の前で、
あなたはもう負けてるのよ。
私のクリが、ヒルにちゅぱちゅぱ吸われて、
お汁が溢れてきちゃってる……
あなたも、昔はこんな下品な快楽、
知らなかったんでしょ?
でも、今は……私の前で、
腰を震わせてるだけ♡」
アイリスは顔を赤らめ、
屈辱と怒りに体を震わせたが、
フィオナはさらにいやらしく鼠径部を押しつけ、
クレセントの支配の道のりを語り始めた。
「クレセントの支配?
簡単よ。
まず、ブルー・ローズの地下街を私が握って、
弱い男たちをスパッツで夢中にさせた。
次に、地上の腐った連中を浄化して、
経済を爆上げ。
マリーナ総統と一緒に、
女性主導の波を広げて、
ヴァーミリオンやシンジケートを孤立させた。
今は、SSレンジの金とクロセヴィアの資源も、
私たちの味方よ。
あなたが失踪したおかげで、
みんな私のスパッツに夢中になって、
抵抗なんてできなくなったわ♡」
フィオナは腰をくねらせ、
ヒルの刺激に甘い喘ぎを漏らしながら、
鼠径部をアイリスの鼻先に近づけた。
「んあっ……はあ……
クレセントは、もう私たちのもの。
あなたが必死に守ろうとした希望は、
この“おまんこ”の前で、
ただの過去の話よ。
さあ、アイリス……
私のクリに、跪きなさい」
アイリスは歯を食いしばり、
再び攻撃を試みたが、
体は快楽の余韻と疲労で、
思うように動かない。
フィオナは余裕の笑みを浮かべ、
鼠径部を揺らしながら、
アイリスの屈辱を、
ゆっくりと味わい続けた。
クレセントの外、
無法地帯の闇の中で、
アイリスの抵抗は、
フィオナの絶対的な支配の前に、
少しずつ、確実に崩れ始めていた。
クレセント大地方全土、メディアとSNSはフィオナの人気で沸騰していた。
「フィオナ様のスパッツ外交、神!」
「ブルー・ローズの経済成長、奇跡だ!」
「クレセントの新女王、フィオナ!」
しかし、その熱狂に異を唱える人物がいた。
ボグダス・ジャベリンのリーダー、セバスチャン・ヴァレリウス。
彼は拠点の戦略室で、
ホログラムに映るフィオナのニュースを冷徹な瞳で見つめ、
静かに呟いた。
「ブルー・ローズの急進……怪しい。
あのフィオナの動きは、自然すぎる。
裏がある」
――SSレンジ首都ウィトヴィア、アイク・ロペスの執務室。
アイクはフィオナとのディールを喜び、
ブルー・ローズへの投資リターンを計算していた。
「この成長率……素晴らしい。
フィオナは本当に有能だ」
そこにセバスチャンからの極秘通信が入る。
セバスチャンは画面越しに、
冷静に告げた。
「アイク、投資リターンは確かに魅力的だ。
だが、長続きしない。
あの急成長は、泡だ。
ブルー・ローズの基盤は、まだ脆い」
アイクは少し眉をひそめたが、
セバスチャンの言葉を無視できなかった。
――クロセヴィア首都、議事堂。
カスチーナ・テンペストは、
突然の記者会見を開いた。
「ブルー・ローズへの投資規模を縮小する。
あの街の成長は目覚ましいが、
健全な発展とは言えない部分があるわ。
女性主導の理想を歪めた、
過度な個人崇拝と混乱が見られる」
この発表は、
フィオナの人気に水を差すものとなった。
マリーナ・ボビンは、
ミエルテンガ総統府でこのニュースを見て、
苛立ちを滲ませた。
「カスチーナ……何を言い出すの?
ブルー・ローズは、私たちのモデル国家よ」
――アイアン・シンジケート首都、レイド・カキザキ執務室。
レイドは、
クロセヴィアの投資縮小ニュースを見て、
無骨な顔に笑みを浮かべた。
「好機だ。
ブルー・ローズに、巨額投資をぶち込む。
フィオナなら、シンジケートの軍事力と組み合わせれば、
さらに強くなる」
彼は即座にファールージャと連絡を取り、
アイアン・シンジケートとしての巨額投資を決定した。
フィオナのブルー・ローズは、
クロセヴィアの離脱をアイアン・シンジケートの流入で補い、
さらに勢いを増そうとしていた。
――ボグダス・ジャベリン移動拠点。
イェシバトーは、
茶髪を指で巻きながら、
捜索地図を眺めて言った。
「アイリスさんがブルー・ローズにいないのは確定。
アウトオブクレセント――クレセント外縁の無法地帯にいる確率が高いわ。
アルファ・ヴェノムのメッセージも、
あそこから発信された痕跡がある」
セバスチャンは頷き、
捜索エリアを変更する命令を下した。
「全チーム、アウトオブクレセントへ移動。
アイリスを、必ず取り戻す」
クレセントの表舞台では、
フィオナの人気とブルー・ローズの経済が輝きを増し、
投資の流れが変わり始めていた。
しかし、裏では、
ボグダスの捜索が、
アイリスの真実へと、
静かに近づいていた。
フィオナの支配と、
アルファ・ヴェノムの闇は、
交錯しながら、
クレセントの未来を、
さらに複雑に塗り替えようとしていた。
ブルー・ローズ地下街、薄暗い隠しラウンジ。
セバスチャン・ヴァレリウスは、
黒いコートの裾を翻して部屋に入った。
向かいに座るピアトリーノは、
青いチャイナ服に黒いスパッツ姿で、
巨尻をソファに沈め、眼鏡の奥で静かに微笑んだ。
セバスチャンは無駄な挨拶を省き、
直球で切り出した。
「ピアトリーノ。
なぜだ?
ブルー・ローズは投資に前向きで、経済成長も著しい。
それなのに、アルファ・ヴェノムの活動痕が残っている。
お前が関わっているのか?」
ピアトリーノは眼鏡を押し上げ、
穏やかに、しかし曖昧に答えた。
「セバスチャンさん……
まだ、ブルー・ローズは完全に浄化されたわけじゃないんです。
ギャングの残党、治安の不安定なエリア……
改善は進んでいるけど、完了していない。
そういう闇の部分に、
外部の勢力が紛れ込んでいる可能性は……
否定できないわね」
彼女の言葉は丁寧だったが、
核心をぼかしたままだった。
セバスチャンは青い瞳を細め、
さらに追及しようとしたが、
ピアトリーノは微笑みを崩さず、
会談を穏やかに終えた。
セバスチャンは部屋を出ながら、
内心で確信を深めていた。
(……やはり、裏がある)
――アウトオブクレセント、廃墟要塞の地下拘束室。
アイリスは、
自分のウォーター・オーブのブルーワイヤで、
自らの手足を大の字に固定されていた。
ギルの精神操作と、
♡淫紋の影響で、
理性では抵抗しつつも、
体が勝手に自分のブルーワイヤを操り、
壁に四肢を広げて拘束する形を取っていた。
ボディスーツはさらに変化し、
胸元と股間が大胆に開き、
敏感な部分が露わに近い状態。
フィオナは、
黒いスパッツの股間にヒルを吸わせたまま、
アイリスの前に立ち、
煽りに煽った。
「ふふ……アイリスさん。
自分で自分を縛っちゃうなんて、
本当に無様ね♡
クレセントの希望が、
自分のブルーワイヤで大の字になって、
おまんことおっぱい晒してる……
最高に興奮するわ」
アイリスは歯を食いしばり、
喘ぎを抑えながら叫んだ。
「……フィオナ……!
こんな……屈辱……
絶対に……許さない……っ!」
フィオナはさらに近づき、
アイリスの♡淫紋の一つ――胸元の紋様に指を這わせ、
ゆっくりと力を注ぎ込んだ。
じゅっ……。
紋様が強く輝き、
アイリスの体から、わずかなウォーター・オーブのパワーが奪われ、
フィオナの指先に吸い込まれていく。
「あんっ……!?
私の……力が……!」
フィオナは悦に浸り、
奪ったパワーを自分の体に取り込みながら、
最後に鼠径部をアイリスの顔に近づけた。
「あなたの力、少しもらったわ。
これで、私のクリがもっと気持ちよくなる♡
じゃあね、アイリスさん。
イズミさんたちの元で、
もっと可愛がられてね」
フィオナはヒルの刺激に腰をくねらせ、
優雅に部屋を去っていった。
残されたアイリスは、
自分のブルーワイヤで大の字に固定されたまま、
♡淫紋の余韻とパワーを奪われた虚脱感に、
一人震えていた。
アルファ・ヴェノムのメンバーたちが、
再び彼女を取り囲む気配が、
静かに近づいてきていた。
ブルー・ローズ統率者執務室、プライベートルーム。
フィオナはアウトオブクレセントからヘリで帰還し、赤いチャイナ服に黒いスパッツ姿のまま、ソファに深く腰を沈めた。股間のスライムヒルはまだぴたりと吸い付き、ちゅうっ……ちゅぱっ……と執拗に蠢き続け、彼女の腰を小刻みに震わせる。
「んっ……はあ……アイリスさん、いい感じに弱ってたわね……♡
あんなに必死に抵抗してたのに、私のスパッツの前で結局膝が震えて……ふふ、最高だったわ」
ドアがノックされ、ピアトリーノが入ってきた。青いチャイナ服に黒いスパッツ、眼鏡の奥の瞳が少し緊張を帯びている。
「フィオナさん、お帰りなさい。……セバスチャン・ヴァレリウスが、さっき私に接触してきたわ。
アルファ・ヴェノムの活動痕について、かなり鋭く追及してきた」
フィオナの表情が一瞬で変わった。ヒルの刺激に甘い吐息を漏らしながらも、腰に手を当てて立ち上がり、苛立ちを隠さず声を尖らせる。
「は? あのボグダスの犬が、また嗅ぎ回ってるの?
ピアトリーノ、あなたどう対応したのよ」
ピアトリーノは穏やかに、しかし丁寧に答えた。
「曖昧にぼかして、ブルー・ローズの闇の部分に外部勢力が紛れ込んでいる可能性があるって言ったわ。
核心には触れず、穏便に追い返したけど……あの人は、かなり疑ってるみたい」
フィオナは舌打ちし、すぐに通信端末を手に取った。スライムヒルのちゅぱちゅぱという音が部屋に響く中、クロセヴィアの首脳、カスチーナ・テンペストへ即座にホログラム電話会談を繋ぐ。
画面に金髪を優雅に揺らすカスチーナの姿が現れた。彼女の表情は冷静だが、どこか警戒の色が強い。
「フィオナ、急にどうしたの?」
フィオナは腰に手を当て、黒いスパッツの鼠径部を軽く押さえながら、苛立ちを露わに切り出した。
「カスチーナ首脳、ちょっと聞きたいんだけど……最近、ブルー・ローズへの投資縮小の話、出てるみたいね?
私たちの協力関係、どうなってるのよ。あなた、最近私を警戒してるみたいだけど……何か不満でもあるの?」
カスチーナは少し目を細め、慎重に言葉を選んだ。
「フィオナ、成長は確かに素晴らしいわ。でも、過度な個人崇拝や……一部の混乱が気になるの。
女性主導の理想を、歪めてるんじゃないかしらって」
フィオナの声が低く鋭くなる。ヒルの刺激に腰がびくんと震え、甘い吐息が混じるが、苛立ちがそれを上回る。
「はあ? 歪めてるって、どういう意味よ。
ブルー・ローズは私が浄化して、経済も爆上げしたのよ。クロセヴィアの投資のおかげもあるけど、
今さら警戒? 私を信じられないなら、投資なんか引き揚げてもいいわよ。
代わりにアイアン・シンジケートが喜んで受け取るって言ってるし」
カスチーナは少し動揺を隠し、会談を穏やかに締めくくろうとしたが、フィオナは一方的に切った。
「ふん……面倒くさいわね。あの女、そろそろ調整が必要かも」
フィオナはソファに戻り、脚をM字に広げてヒルの刺激に浸りながら、ピアトリーノに指示した。
「セバスチャンの動き、監視を強化して。ボグダスがアウトオブクレセントに集中してる今がチャンスよ」
――同時刻、アウトオブクレセント、廃墟要塞の地下拘束室跡。
ボグダス・ジャベリウスの精鋭チーム――セバスチャン、ミユシャリ、イェシバトー、アイナら――が、ようやく現場に到着した。
薄暗い部屋には、アイリスが大の字に固定されていた痕跡、散乱したブルーワイヤの残渣、♡淫紋の淡い魔力残滓、そしてフィオナの甘い香りの残り香が漂っている。
明らかに、数時間前までここで激しい“戦い”と拘束が行われていた。
ミユシャリは千里眼を最大限に働かせ、部屋の元素残渣を解析しながら、静かに結論を出した。
「……アイリスさんは、ここにいたわ。でも、もう移動された。
痕跡の流れから……さらに遠く、オーシャンルートを辿ってる。
おそらく、ピジョン島よ。あの孤島に攫われた可能性が高い」
セバスチャンは青い瞳を鋭く光らせ、即座に命令を下した。
「全チーム、ピジョン島へ移動。アイリスを、必ず取り戻す」
イズミたちは、アイリスをさらに遠くのピジョン島へ移送していた。
廃墟要塞の拘束室は空っぽになり、
アルファ・ヴェノムのメンバーたちは、
クレセントの希望を、
孤島の闇でさらに深く、淫靡に蝕み続けようとしていた。
クレセントの表ではフィオナの輝きが続き、
裏ではボグダスの追跡が、
静かに、しかし確実に近づいていた。
アイリスの運命は、
ピジョン島の波音とともに、
さらに歪んだ方向へと進もうとしていた。
ミエルテンガ総統府、湖畔の大広間。
世界地図を映した巨大ホログラムテーブルの周りに、五人の首脳が座っていた。
- ミエルテンガ総統 マリーナ・ボビン
- アイアン・シンジケート首脳 レイド・カキザキ
- オーガスタ皇帝 ヴィクトル・フォン・オーガスタ
- ファルシオン大統領 セレナ・ヴァレリア
- シュタルクス連邦首相 ハンス・シュトルム
- ファティマ連邦大統領 アリフ・アル=ファティマ
レイドは無骨な体躯をテーブルに預け、マリーナは優雅にワイングラスを傾けながら、静かに口を開いた。
「皆さん、ようこそ。
本日は、クレセント大地方の枠を超えた、新たな世界秩序の礎を築くための会談です。
私たちはすでに、経済・軍事・資源の面で圧倒的な優位を確保しています。
これをさらに制度化し、名実ともに世界を統治する最高機関を設立しましょう」
マリーナはホログラムに新たな文字を浮かび上がらせた。
「バイタルヘクトは、クレセント行政の最高機関として機能します。
加盟国はシュタルク三国、ファティマ連邦、そして私たちのクレセント主要国。
議決権は経済力・軍事力・人口の総合値で配分。
実質的に、私たちが世界のルールを決めることになります」
ヴィクトル皇帝は金色の髭を撫で、満足げに頷いた。
「良い響きだ。オーガスタは賛成だ。
旧来の国際連合など、歯牙にもかけられぬ存在だった。
これでようやく、真の秩序が生まれる」
セレナ大統領は静かに、しかし鋭く言った。
「ファルシオンも同意する。ただし、技術独占の懸念を払拭する保証を」
ハンス首相は腕を組み、短く答えた。
「シュタルクスは条件付き賛成。軍事同盟の強化を同時に進めるなら、即決だ」
アリフ大統領は白いローブの袖を広げ、穏やかに微笑んだ。
「ファティマは全面的に支持する。
エネルギー資源の安定供給を条件に、議決権の配分も納得できる」
レイドは拳をテーブルに軽く叩き、笑った。
「シンジケートはもちろん賛成だ。
マリーナ、お前のビジョンは俺の好みに合ってる。
世界はもう、弱者の言い分を聞く時代じゃねえ」
マリーナは優雅にグラスを掲げた。
「では、全会一致でバイタルヘクト設立を決定しましょう。
来月、正式署名式をミエルテンガで開催します。
世界はこれより、私たちの手に──」
――同時刻、SSレンジ首都ウィトヴィア、秘密アジト。
エレナ(元ミエルテンガ本部長)は、アイク・ロペスの護衛下でホログラムニュースを凝視していた。
画面には、バイタルヘクト設立会談の速報が流れている。
エレナは銀髪を震わせ、低く呟いた。
「……マリーナ、あなたがここまでだったとはね。
アイリスの失踪も、すべてこの計画のため……?
私はもう、クレセントには戻れない」
アイクは静かに肩を叩いた。
「エレナさん、ここが安全です。
SSレンジはバイタルヘクトの外。
ここから、真相を暴きましょう」
エレナの瞳に、静かな決意が宿った。
「ええ……アイリスを救い、マリーナの野望を止める。
そのために、私はすべてを賭けるわ」
――ブルー・ローズ統率者執務室、プライベートルーム。
フィオナは巨大スクリーンに映るバイタルヘクト設立会談の映像を、恍惚とした表情で見つめていた。
赤いチャイナ服のスリットを大胆に広げ、黒いスパッツの股間にスライムヒルを吸わせたまま、腰をくねくねと震わせている。
ちゅうっ……ちゅぱっ……れろぉっ……。
ヒルがクリトリスを執拗に吸い上げ、フィオナの甘い喘ぎが部屋に響く。
「んあっ……はあっ……♡
マリーナ総統……素晴らしいわ……
バイタルヘクト……世界を、私たちの手に……
あんっ……もう、興奮しすぎて……おまんこビクビクしちゃってる……♡」
彼女は脚をM字に広げ、スクリーンに向かって腰を振りながら、悦に浸った。
「アイリスさん……あなたが失踪したおかげで、
すべてが加速したのよ。
もう、誰も私たちを止められない……
世界は、マリーナ総統の……そして私のスパッツのものよ……♡」
フィオナはヒルの刺激に体を震わせながら、
新たな世界秩序の誕生を、
股間を濡らしながら祝福していた。
ピジョン島の波音が遠くで響く中、
クレセントの希望はまだ闇に沈んだまま、
世界は静かに、確実に、
新しい支配者たちの手に落ちようとしていた。
SSレンジ首都ウィトヴィア、アイク・ロペス私邸・最上階のセキュリティルーム。
夜景が一望できるガラス張りの部屋で、エレナは銀髪を乱暴に掻き上げ、苛立ちを露わにした。
「アイク、マリーナを危険人物として国際指名手配すべきよ。
バイタルヘクトの設立、アイリスの失踪、すべて繋がってる。
あれはもう、ただの総統じゃない。世界を支配しようとしてる独裁者よ」
アイクはデスクに肘をつき、銀縁の眼鏡を押し上げながら、静かに首を振った。
「待って、エレナさん。
セバスチャンが前に言ってた言葉を思い出してほしい。
『急ぐな。証拠が揃うまで、感情で動くな』って」
エレナは唇を噛み、拳を握りしめた。
「でも、このままじゃ──」
その瞬間、アイクの専用通信端末が緊急信号を鳴らした。
発信元はボグダス・ジャベリン、セバスチャン・ヴァレリウス。
アイクは即座にホログラム通信を繋いだ。
セバスチャンの青い瞳が画面に現れ、背景はアウトオブクレセントの廃墟要塞跡。疲労の色が濃いが、声は鋭い。
「アイク、朗報だ。
アイリス失踪の犯人が、ほぼ特定できた」
アイクの眉が跳ね上がった。
「……誰だ?」
セバスチャンは一呼吸置いて、静かに告げた。
「フィオナ。ブルー・ローズの統率者、フィオナだ。
廃墟要塞に残された魔力残滓、元素反応の波長、監視映像の断片……
すべてが彼女の術式と一致する。
さらに、アイリスが最後に移送されたピジョン島へのルートにも、
ブルー・ローズの秘密輸送船の航跡が重なってる」
エレナが息を呑んだ。
「フィオナ……? あのフィオナが……?」
アイクは椅子に深く凭れ、額を押さえた。
「……衝撃だ。
でも、証拠は限定的だな。状況証拠の積み重ねで、直接的な決定的証拠はまだない。
確定的に動くには、弱い」
セバスチャンは頷いた。
「その通りだ。だから今は動かない。
だが、フィオナが黒幕の一人である可能性は、極めて高い」
通信が切れた後、部屋に重い沈黙が落ちた。
アイクはゆっくりと立ち上がり、夜景に向かって呟いた。
「仮にフィオナが犯人だとしても……
今、世界で最も人気のある女性を敵に回すのは、自殺行為に近い」
エレナも窓辺に歩み寄り、遠くの街灯を見つめた。
「……『VITE TIME』ランキング1位。
弱者男性層の圧倒的支持、クロセヴィアとシンジケートの投資、
バイタルヘクト加盟国からの好感度……
ブルー・ローズは今や、クレセント経済の新中枢よ。
ここで敵対すれば、SSレンジだって経済制裁を受けるかもしれない」
アイクは苦々しく笑った。
「マリーナを指名手配するどころか、
フィオナの名前を公に疑うことすら、今はできない。
世界情勢は、完全に彼女たちのペースだ」
エレナは拳を握りしめながらも、深く息を吐いた。
「……なら、私たちはどうするの?」
アイクは振り返り、静かに答えた。
「口は出さない。
表向きは、バイタルヘクトの動きを静観する。
裏では、セバスチャンと連携して、決定的な証拠を集める。
フィオナの人気は、所詮は泡だ。
弾ける瞬間が、必ず来る」
二人は夜景を見下ろしながら、
世界を覆う巨大な陰謀の網に、
静かに、しかし確実に牙を研ぎ始めた。
ピジョン島の波音は遠く、
フィオナのスパッツが輝くブルー・ローズは、
今、世界の中心で、
誰にも触れられぬ高みへと昇り続けていた。
ミエルテンガ総統府、大広間──2025年12月21日。
湖畔に面した巨大なガラスドームの下、世界中のメディアカメラとホログラム中継が並び、数億人がリアルタイムで視聴する中、バイタルヘクトの正式署名式が始まった。
円形の黒大理石テーブルを囲むのは、
- ミエルテンガ総統 マリーナ・ボビン
- アイアン・シンジケート首脳 レイド・カキザキ
- オーガスタ皇帝 ヴィクトル・フォン・オーガスタ
- ファルシオン大統領 セレナ・ヴァレリア
- シュタルクス連邦首相 ハンス・シュトルム
- ファティマ連邦大統領 アリフ・アル=ファティマ
そして、特別席から立ち上がり、中央に歩み出たのは──
赤いチャイナ服に黒いスパッツ姿のフィオナ。
彼女は腰に手を当て、優雅に一礼すると、会場の視線を一身に浴びた。
世界中のSNSが瞬時に沸騰する。
「フィオナ様、来たああああ!!」
「スパッツの女王、世界の中心に立つ!!」
「ブルー・ローズ代表として出席キター!!」
マリーナは穏やかに微笑みながら、マイクを握った。
「皆さん、本日は歴史的な日です。
当初、バイタルヘクトとして発表したこの超国家機関ですが──
署名の寸前で、一つ訂正させていただきます」
会場が静まり返る。
マリーナはフィオナを横に招き、肩に軽く手を置いた。
「ここに、ブルー・ローズの統率者フィオナを迎え、
私たちは当初の6か国ではなく、7か国連合として新たな秩序を築きます。
したがって、機関名を──
と改め、ここに宣言いたします」
会場の拍手が鳴り響く中、フィオナは腰に手を当て、軽く尻を振ってカメラに向かって微笑んだ。
黒いスパッツの光沢が照明を反射し、世界中の男性視聴者が息を呑む。
各国首脳が順番に立ち上がり、黒大理石テーブルに置かれたデジタル署名パッドに指紋と虹彩を登録していく。
ヴィクトル皇帝、レイド、カスチーナの代理、セレナ、ハンス、アリフ……
最後にマリーナが署名し、フィオナがブルー・ローズ代表として7番目にサインした瞬間、
会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
全世界で放映された映像では、
フィオナがサインを終えた直後、
カメラに向かって片脚を軽く上げ、スパッツの曲線を強調するポーズを取った。
その瞬間、SNSのトレンド1位~10位までがフィオナ関連で埋まり、
「#FionaV7」「#スパッツの女王」「#V7フィオナ」で世界が染まった。
視聴率は過去最高を記録。
弱者男性層だけでなく、一般市民、女性層、海外までもが、
「フィオナこそが新時代の象徴」と熱狂した。
マリーナはフィオナの耳元で囁いた。
「よくやったわ、フィオナ。
あなたの人気がなければ、ここまでスムーズにはいかなかった」
フィオナはくすりと笑い、小声で返した。
「ありがとう、マリーナ総統♡
でも、まだ始まりよ。
世界はもう、私たちのスパッツの下──」
大広間の天井に、巨大なホログラムで**V7**のロゴが輝き、
7か国の旗が融合した新たな旗印が掲揚された。
ピジョン島の波音は遠く、
アイリスの存在は、
世界の誰もが忘れかけていた。
新世界秩序V7は、
フィオナの黒いスパッツとともに、
華々しく、淫靡に、
その幕を開けた。
SSレンジ首都ウィトヴィア、政府庁舎・大広間
V7署名式の映像が世界中を駆け巡った翌日、アイク・ロペスは即座に行動を起こした。
大理石の床に赤い絨毯が敷かれた広間には、急遽設置された円形テーブルが置かれ、ホログラム中継カメラが数十台並ぶ。
メディアは招待されず、完全非公開。
出席者はわずか三人。
- SSレンジ政府首脳 アイク・ロペス
- クロセヴィア首脳 カスチーナ・テンペスト
- ヴァーミリオン首脳 アザゼル・ヘクトパス
アイクは銀縁の眼鏡を外し、テーブルに置くと、静かに口を開いた。
「皆さん、V7の誕生を見ましたね。
あれは単なる超国家機関じゃない。
マリーナとフィオナが、クレセント全体を──いや、世界を掌握するための最終ステップです。
我々はもう、傍観している余裕はない」
カスチーナは金髪を優雅に掻き上げ、冷静に頷いた。
「同意よ。
当初はブルー・ローズへの投資を継続するつもりだったけど……
フィオナの個人崇拝の度合い、V7でのあの露出っぷり……
正直、危険すぎるわ。
クロセヴィアは、経済的にもう引き返せない段階に来てる」
アザゼルは厳つい顔をしかめ、軍人らしい低い声で続けた。
「ヴァーミリオンも同じだ。
統一政府構想には前向きだったが、V7は明らかに独裁色が強すぎる。
フィオナの人気を利用して、議決権を事実上ブルー・ローズとミエルテンガで牛耳る気だ。
我々の軍事力と人口を、ただの飾りにするつもりだろう」
アイクは立ち上がり、ホログラムテーブルに新たな地図を投影した。
SSレンジ、クロセヴィア、ヴァーミリオンの三国が青く強調され、
V7加盟7か国は赤く塗り分けられている。
「だからこそ、今日、ここで我々は新たな連帯を結ぶ。
名称は──**トリニティ・アライアンス(Trinity Alliance)**
三国臨時同盟。
目的は明確だ。
V7の独走を阻止し、クレセントの均衡を保つこと。
経済・軍事・情報で完全連携。
必要なら、武力行使も辞さない」
カスチーナが微笑み、すぐに応じた。
「クロセヴィアは即時参加。
投資はすべてヴァーミリオンとSSレンジへ振り向けるわ。
フィオナには、今日中に撤退通告を送る」
アザゼルも拳をテーブルに軽く叩いた。
「ヴァーミリオンも即決だ。
正規軍の半数を、両国の国境防衛に即時配備可能。
ボグダス・ジャベリンの協力も、すでに取り付け済みだ」
アイクは満足げに頷き、三人で立ち上がった。
円形テーブルの中央に置かれたデジタル署名パッドに、
順番に指紋と虹彩を登録していく。
カスチーナ → アザゼル → 最後にアイク。
登録が完了した瞬間、
ホログラムテーブルに青い光が広がり、
アイクは静かに宣言した。
「これにより、クレセント大地方は事実上、二つの陣営に分かれた。
V7──経済力と人気で圧倒的な7か国連合。
そして我々トリニティ・アライアンス──技術、軍事、人口で対抗する3国臨時同盟。
世界は再び、冷戦構造に戻ったと言えるだろう」
カスチーナが小声で付け加えた。
「ただ……我々の同盟は、あくまで『臨時』。
V7は常設機関だ。
長期戦になれば、明らかに向こうが有利ね」
アザゼルが低く笑った。
「だからこそ、短期決戦にする。
フィオナの人気は泡だ。
アイリスの失踪事件を、決定的な証拠とともに暴けば──
一瞬で弾ける」
アイクは再び眼鏡をかけ、夜景を見下ろす窓辺に歩み寄った。
「その通り。
セバスチャンからの最新報告では、ピジョン島への移送ルートがほぼ特定された。
あと数日で、決定的証拠が揃う。
その瞬間、我々は全世界に公開する。
フィオナの仮面を、剥ぎ取る」
三人は固く握手を交わした。
広間の外では、ウィトヴィアの夜空が静かに広がっていた。
世界は、
V7の華々しい赤と、
トリニティ・アライアンスの静かな青に、
奇しくも二分されていた。
しかし、誰もが知っていた──
この均衡は、長くは続かない。
フィオナの黒いスパッツが輝くブルー・ローズは、
依然としてクレセントの中心で、
誰にも触れられぬ高みへと昇り続けていた。
ピジョン島の波音は、
アイリスの微かな喘ぎとともに、
遠く、静かに響き続けていた。
トリニティ・アライアンスの調印は、
V7の脅威に対して、
確かな反撃の狼煙となった。
だが、
世界の天秤は、
まだ、フィオナの腰の動きに合わせて、
微妙に、淫靡に揺れ続けていた。
ピジョン島・廃墟となった旧軍事施設の地下深部。
潮の匂いと湿ったコンクリートの冷気が混じり合う薄暗い部屋で、アイリスは壁に背を預けるように座っていた。
首には銀色のリング状の拘束具──パワー制限首輪がぴったりと嵌め込まれ、ウォーター・オーブの力を九割以上封じている。
両手首と両足首には、ブルーワイヤを応用した特殊拘束具が巻かれ、わずかな動きすら許さない。
ボディスーツはさらに破れ、胸元と股間が大胆に開き、♡淫紋が淡く脈打つ肌が、冷たい空気に晒されていた。
部屋の中央に立つのは、アルファ・ヴェノムの幹部、イズミ。
黒を基調としたタイトな戦闘服に身を包み、腕を組んでアイリスを見下ろしている。
「まだ抵抗する気?
もう、あなたの力はほとんど使えないわ。
フィオナ様の指示通り、ここでゆっくり“調教”させてもらうけど……
正直、クレセントの希望がこんな無様な姿で喘いでるの、見てるだけで楽しいわね」
アイリスは乱れた髪を振り払い、鋭い瞳でイズミを睨みつけた。
「……フィオナの……犬が……
こんなところで……満足してるの……?
いつか……絶対に……この首輪を……外して……あなたたち全員を……」
言葉は途切れがちだった。
淫紋の残滓と首輪の影響で、体が時折小刻みに震える。
その時──
施設全体が大きく揺れた。
ごおおおっ……!!
天井からコンクリートの粉が舞い落ち、警報音が鳴り響く。
イズミの表情が一変した。
「っ……!? 侵入者!?
まさか、もうここまで……!」
ドアが爆音とともに吹き飛ばされ、煙と埃の中から現れたのは──
セバスチャン・ヴァレリウスを先頭にしたボグダス・ジャベリンの精鋭部隊。
セバスチャン、ミユシャリ、イェシバトー、アイナ、ニニギス、ミナ、そしてガレス──
最強のメンバーが勢揃いしていた。
ミユシャリは白いレオタードの上にジャケットを羽織り、千里眼を最大限に発揮した瞳で周囲を一瞬で把握する。
「アイリスさん……! 無事よ!
位置は完全に特定したわ。
この部屋の奥、拘束状態で監視一人……イズミね」
セバスチャンは青い瞳を鋭く光らせ、ゆっくりと一歩踏み出した。
「アルファ・ヴェノム……ここまでだ。
アイリスを解放しろ。
抵抗すれば、全員をその場で拘束する」
部屋の反対側から、アルファ・ヴェノムのメンバーたちが一斉に現れる。
イズミを筆頭に、ギル、残りの幹部、そして数十人の戦闘員。
全員が戦闘態勢を取り、魔力と特殊武装を構えた。
イズミは唇を歪めて笑った。
「ボグダス・ジャベリン……よくここまで来たわね。
でも、遅すぎたわよ。
アイリスはもう、フィオナ様の素敵なおもちゃ。
世界はV7の時代……あなたたちみたいな古い正義は、もう通用しないの」
アイリスは拘束されたまま、弱々しく声を上げた。
「……セバスチャン……みんな……
来て……くれたの……?
ごめん……こんな……姿で……」
ミユシャリが一歩前に出る。
「アイリスさん、もう大丈夫よ。
私たちが必ず連れ帰る」
イェシバトーが茶髪を指で巻きながら、軽く笑った。
「へえ、アルファ・ヴェノムってこんな顔ぶれなんだ。
フィオナの手先って感じ?
まあ、まとめて片付けちゃうけど」
ガレスは無言で剣を構え、アイナは銀の鎧を鳴らして盾を掲げた。
両陣営が、狭い地下室で完全に相対する。
空気が張り詰め、魔力と戦闘意図がぶつかり合い、火花が散った。
セバスチャンが静かに告げた。
「最後の警告だ。
アイリスを解放し、投降しろ。
それとも……ここで全員を潰すか」
イズミは首を振って、妖しく笑った。
「ふふ……面白いわ。
だったら、やってみなさいよ。
クレセントの希望を、目の前でさらに穢してあげる」
一触即発。
ピジョン島の地下で、
ボグダス・ジャベリンとアルファ・ヴェノムの、
運命を決める衝突が、
今、始まろうとしていた。
アイリスの微かな息遣いと、
両陣営の殺意が交錯する中、
戦いの火蓋が、静かに切って落とされた。
ピジョン島・廃墟となった旧軍事施設の地下深部。
狭いコンクリートの部屋に、両陣営の殺意がぶつかり合い、空気が重く震えた。
セバスチャン・ヴァレリウスは黒い戦闘服の裾を翻し、冷たい青い瞳でイズミを正面から射抜いた。背後には精鋭たちが扇状に広がり、即座に戦闘態勢を取る。
イズミは黒いロングコートの裾を軽く払い、鋭い笑みを浮かべた。ふたなりの体躯がわずかに前傾し、股間の膨らみがコート越しに浮き彫りになる。
「ふふ……ボグダス・ジャベリンの総登場ね。
セバスチャン・ヴァレリウス……噂通りの冷たい目。
でも、ここまで来るのが精一杯だったんでしょう?
アイリスはもう、私たちの素敵なおもちゃよ」
アイリスは壁に背を預け、パワー制限首輪と四肢の拘束具に縛られたまま、弱々しく息を吐いた。ボディスーツは胸と股間が大胆に裂け、♡淫紋が淡く脈打ち、冷たい床に晒されている。
「……みんな……来てくれて……ありがとう……
でも……気を付けて……こいつらは……本気よ……」
セバスチャンは一歩も引かず、低く告げた。
「最後の機会だ、イズミ。
アイリスを解放し、全員投降しろ。
それとも……ここで潰すか」
イズミは首を振り、妖しく笑った。
「面白い提案ね。
だったら……やってみなさい」
その瞬間、火蓋が切られた。
セバスチャンが先陣を切って突進。黒い戦闘服が風を切り、冷徹な拳がイズミの顔面を狙う。イズミはコートを翻し、ふたなりの下半身を低く沈めてかわすと、逆に鋭い蹴りをセバスチャンの脇腹に叩き込んだ。衝撃が響き、セバスチャンはわずかに後退するが、すぐに反撃の肘打ちを返す。二人は中央で激しく打ち合い、戦術の極限を競うような接近戦が始まった。
「冷たい目をしてるくせに、熱いわね……!」
「黙れ。貴様の計画は、ここで終わる」
同時に、他の戦闘が爆発した。
イェシバトーは茶髪を指で軽く巻きながら、レヴィリアと対峙。レヴィリアの銀髪がなびき、紫の瞳が妖しく光る。巨乳巨尻が揺れながら、無数のスライムが床を這い回り始めた。
「また会ったわね、小僧。
今度は、私のスライムで全身を包んで、ゆっくり溶かしてあげる♡」
イェシバトーは軽く笑い、素早く距離を詰める。スライムが襲いかかるが、彼は敏捷に跳躍し、蹴りをレヴィリアの肩口に叩き込む。レヴィリアはスライムで防御し、逆に触手を伸ばしてイェシバトーの足を絡め取ろうとする。激しい近接戦が展開された。
シェロン・ジェラスは白髪を風になびかせ、影に潜むギルと対峙。ギルが次元力を発動し、不可視の力場がシェロンを空間ごと固定しようとする。
「動けない……だと?」
シェロンは白髪を振り払い、力場を力任せに引き裂くように突進。ギルの精神操作が脳内に響くが、シェロンはそれを振り払い、拳をギルの胴体に叩き込む。次元力と純粋な肉体戦のぶつかり合いが始まった。
ワドリナ・レヴェルズとニニギス・カラスは、ゴルディロックスのスライム生物に囲まれた。ワドリナの機械義眼が赤く輝き、スキャンしながら義腕でスライムを拘束。ニニギスはマスクの下で無言のまま、鋭い刃を振るってスライムを切り裂く。
「年齢操作? 面白い玩具だな」
ワドリナの義腕がゴルディロックス本体を捕らえようとするが、彼女はスライム化して逃れ、逆に二人を包み込もうとする。
ホワイトノイズとミナ・エウレカは、ボブリスティの黒いヘドロに立ち向かう。ミナの超念力が力場を張り、ヘドロの波を完全にブロック。ホワイトノイズは白髪を翻し、ヘドロの隙を突いて接近、強烈な打撃を叩き込む。
「この汚物……浄化してやる!」
ボブリスティはヘドロを爆発的に増やし、二人の足元を呑み込もうとする。
アイナ・フォン・リースフェルトとミユシャリは、ヴィヴィエッタと対峙。ヴィヴィエッタは疲弊しながらも、アルファ・ヴェノムの洗脳が残り、冷たい瞳で二人を見据える。
「ヴィヴィエッタさん……目を覚まして!」
ミユシャリは千里眼でヴィヴィエッタの動きを完全に読み、アイナは銀の鎧を鳴らして盾を構え、護衛しながら接近。ヴィヴィエッタの攻撃を防ぎつつ、説得を試みる。
最後に、ガレス・ヴァンダールはカタリナ・カールと対峙。ガレスの筋肉質な鋼の肉体が低く構え、カタリナの銀髪がなびく。
「また会ったわね、鋼の男。
今度はあなたの服を、もっとエロくしてあげる♡」
カタリナが布地操作を発動し、ガレスの戦闘服を露出度の高い形に変えようとするが、ガレスは「クレイジーレベル」を即座に発動。理性が飛ぶ代わりに身体能力が爆発し、カタリナの布地操作を力で強引に振り払い、猛烈な突進で彼女を追い詰める。
地下室は一瞬にして戦場と化した。
爆音、魔力の衝突、叫び声、スライムのぬめり音が交錯する。
戦いが激化する中、イルミーゼとフレデリック・ギャビーは、混乱に乗じてアイリスの元へ急接近。
イルミーゼは黒髪を揺らし、超小型化ビームでアイリスの拘束具を瞬時に焼き切り、捕獲用魔法瓶で残りの封印を無効化。
「アイリスさん、今よ!」
フレデリック・ギャビーはハイカラなコートを翻し、アイリスを抱きかかえるように支えた。
アイリスは首輪が外れ、力が少しずつ戻るのを感じながら、弱々しく微笑んだ。
「……ありがとう……イルミーゼ……ギャビー……
みんなを……援護して……」
二人はアイリスをしっかりと抱え、戦闘の隙を突いて退路へ急ぐ。
セバスチャンが中央でイズミを牽制し、他のメンバーが壁を作り、脱出ルートを確保した。
「撤退! アイリスを連れて出る!」
セバスチャンの冷静な指示が響く。
ボグダス・ジャベリンの精鋭たちは、戦闘を続けながらも徐々に後退。
アルファ・ヴェノム側は追おうとするが、ミユシャリの千里推論とアイナの完璧な防御で追撃を封じられる。
イルミーゼとギャビーはアイリスを抱きかかえたまま、地上への階段を駆け上がった。
島の外では、ボグダス・ジャベリンの高速艇が待機。
夜の海を切り裂き、ピジョン島を後にする。
艇内で、アイリスはギャビーの膝に頭を預け、微かに息を吐いた。
「……みんな……無事で……よかった……
でも……まだ……終わって……ない……」
セバスチャンの声が通信で響く。
「アイリス、無事だな。
これで一区切りだ。
だが、アルファ・ヴェノムの本当の闇は、まだ深い」
波の音が遠ざかる中、
アイリスの瞳に、再び冷たい光が灯り始めた。
フィオナの黒いスパッツが輝く世界は、
まだ、揺れ続けていた。
だが、クレセントの希望は、
確かに、取り戻されつつあった。
ピジョン島・廃墟となった旧軍事施設の地下深部。
戦場はすでに混沌の極みにあった。
スライムのぬめり音、次元力の空間歪み、布地が裂ける鋭い響き、ヘドロの爆発、超念力の衝突――
それぞれの戦域で、ボグダス・ジャベリンの精鋭とアルファ・ヴェノムの幹部たちが死闘を繰り広げていた。
中央では、最も激しい火花が散っていた。
セバスチャン・ヴァレリウスとイズミ。
黒い戦闘服のセバスチャンは冷たい青い瞳を一切揺るがせずに拳を繰り出し、
イズミは黒いロングコートを翻しながら、ふたなりの肉体を最大限に活かした流麗な蹴撃と掌打で応戦する。
拳と掌がぶつかり合うたび、衝撃波がコンクリートの壁を震わせた。
「貴様の計画は、ここで終わる」
セバスチャンの声は氷のように冷え切っている。
イズミは鋭く笑い、舌なめずりするように唇を湿らせた。
「ふふ……セバスチャン、まだそんな古い正義を振りかざすの?
クレセントはもう、フィオナ様の――」
その瞬間、イズミの瞳がわずかに揺れた。
声のトーンが、女性的な艶やかさから、急に低く、男性的な響きへと変わる。
「――フィオナの時代だ」
セバスチャンの眉がわずかに動いた。
イズミの表情が切り替わる。
女人格から男人格へ。
同じ体、同じ顔なのに、雰囲気が完全に変わる。
男人格のイズミは、口元に残酷な笑みを浮かべ、股間のふたなり器官がコートの下で明確に隆起し、布地を押し上げた。
「セバスチャン・ヴァレリウス……
お前のような堅物が一番嫌いだ。
フィオナは、お前みたいな男を跪かせて、泣かせて、壊すのが大好きなんだよ」
男人格のイズミは、突然動きを加速させた。
蹴りが空気を引き裂き、セバスチャンのガードを強引にこじ開ける。
拳が腹にめり込み、セバスチャンは初めて後退を強いられた。
「ぐっ……!」
だが、セバスチャンはすぐに体勢を立て直し、冷徹な瞳で反撃。
肘打ちがイズミの顎を捉え、男人格のイズミをわずかに仰け反らせる。
「人格が変わろうと、貴様は貴様だ。
フィオナの傀儡に過ぎない」
男人格のイズミは口元から血を拭い、興奮したように笑った。
「傀儡? 違うね。
俺はフィオナの一部だ。
フィオナは俺の一部だ。
お前が今戦ってるのは、フィオナそのものなんだよ」
再び人格が切り替わる。
女人格のイズミが戻り、甘く、艶っぽく微笑んだ。
「ふふ……セバスチャン、怒ってる顔も素敵ね。
フィオナ様なら、きっとあなたを自分の足下で喘がせて、
黒いスパッツに顔を埋めさせて、たっぷり可愛がってあげたのに……
残念だわ」
セバスチャンは一切の動揺を見せず、拳を握り直す。
「戯言は終わりだ」
二人は再び激突。
女人格の優雅で流れるような動きと、
男人格の残酷で直線的な猛攻が交互に繰り出され、
セバスチャンはその予測不能な切り替えに、初めて本気の対応を強いられた。
拳、蹴り、掌底、肘打ち――
互いに一歩も譲らず、コンクリートの床がひび割れ、壁が崩れ始める。
周囲の戦闘も劇的な展開を見せていた。
イェシバトーはレヴィリアのスライムを次々と切り裂きながら、
「またその巨尻振って誘ってるのか? 飽きねえな!」と挑発し、
レヴィリアは紫の瞳を妖しく光らせながら、
「今度はあなたをスライムで完全に包んで、永遠に私の玩具にしてあげる♡」と応じる。
シェロンはギルの次元力を純粋な膂力で引き裂き、
ギルは精神操作でシェロンの動きをわずかに遅らせながら影に潜む。
ワドリナの機械義腕がゴルディロックスのスライム本体を捕らえ、
ニニギスが無言で刃を振り下ろす。
ミナの超念力でボブリスティのヘドロを完全に封じ、
ホワイトノイズが白髪を翻して急所を狙う。
アイナは銀の盾でヴィヴィエッタの攻撃を防ぎ続け、
ミユシャリは千里眼でヴィヴィエッタの動きを完全に読みながら、
「ヴィヴィエッタさん! もう目を覚まして! あなたは四楓院ヴィヴィエッタよ!」と叫ぶ。
ガレスは「クレイジーレベル」全開で、カタリナの布地操作を完全に無視し、
鋼の肉体で猛烈に迫る。
カタリナは銀髪を乱しながらも、
「素晴らしい肉体……でも、すぐに私のレザーで縛り上げてあげるわ♡」と笑う。
戦場全体が、劇的な光と影と音と魔力に満ちていた。
中央で、再び男人格のイズミが笑った。
「セバスチャン……お前は強い。
でも、フィオナはもっと強い。
クレセントはもう、フィオナのスパッツの下だ」
セバスチャンは冷たく吐き捨てる。
「ならば、俺はそのスパッツを、引き裂いてやる」
二人の拳が、再び正面から激突した。
衝撃波が地下全体を揺らし、
天井からコンクリート片が崩れ落ちる。
劇的なリーダー対決は、
まだ、決着を見せていなかった。
一方、イルミーゼとフレデリック・ギャビーは、
戦場の混乱を縫うようにアイリスを抱え、
確実に脱出ルートへと向かっていた。
アイリスの瞳に、微かな光が戻り始めていた。
「セバスチャン……みんな……
負けないで……」
波の音が近づく中、
ピジョン島の戦いは、
最高潮へと突き進んでいた。
ピジョン島・廃墟地下施設、戦場は最高潮に達していた。
イルミーゼとフレデリック・ギャビーは、アイリスをしっかりと抱え、崩れゆく通路を駆け抜けていた。
イルミーゼの超小型化ビームが残敵の足止めを的確に放ち、
ギャビーのハイカラなコートが風を切って、二人を覆うように翻る。
アイリスはギャビーの腕の中で、首輪が外れたことで少しずつ力が戻るのを感じながら、弱々しく呟いた。
「……みんなを……置いていけない……
セバスチャン……イズミに……」
ギャビーは優しく、しかし力強く答えた。
「大丈夫だ、アイリスさん。
あいつらは必ず勝つ。
俺たちはあなたを安全な場所へ――アウトオブクレセントへ運ぶ。それが任務だ」
三人は地上へ飛び出し、夜の海風に打たれながら待機していた高速艇へ乗り込んだ。
エンジンが轟音を上げ、ピジョン島は急速に遠ざかっていく。
波が艇を揺らす中、アイリスは甲板に座り、島の灯りを遠くに見つめた。
「……ありがとう……
でも、まだ終わっていない。
フィオナ……イズミ……
アルファ・ヴェノムの闇は、もっと深い」
イルミーゼは黒髪を海風になびかせ、静かに頷いた。
「ええ。でも、今はあなたが生きていることが一番大事です。
アウトオブクレセントで治療と回復を。
それから――本当の反撃を始めましょう」
艇は闇の海を切り裂き、クレセント外縁の無法地帯――アウトオブクレセントへと向かった。
一方、地下深部。
戦況は、ボグダス・ジャベリンの精鋭たちの粘り強さによって、徐々に傾き始めていた。
イェシバトーはレヴィリアの巨尻をかわし続け、最後に完璧なタイミングで回し蹴りを叩き込み、
レヴィリアはスライムを総動員して防御するも、膝をついて動きを止めた。
「もう終わりだ、レヴィリア。
大人しく縛られろ」
特殊拘束ワイヤーがレヴィリアの四肢を瞬時に巻き取り、巨乳巨尻を強調する形で固定。
レヴィリアは悔しげに唇を噛んだが、抵抗を諦めた。
シェロンはギルの次元力を純粋な膂力でねじ伏せ、
ギルが精神操作を仕掛ける隙を与えず、首元に拳を突きつけて降伏を強いる。
ワドリナの機械義腕とニニギスの連携で、ゴルディロックスはスライム化を封じられ、
完全に拘束。
ミナの超念力でボブリスティのヘドロを圧縮固定し、
ホワイトノイズが急所を押さえて動きを止める。
アイナとミユシャリの説得と防御が功を奏し、
ヴィヴィエッタは洗脳の残滓に苦しみながらも、最後に自ら膝をついた。
「……もう……十分だ……
降伏する……」
ガレスは「クレイジーレベル」の暴走を抑え込み、
カタリナの布地操作を完全に無視した鋼の突進で、
カタリナを壁に押しつけ、拘束。
各戦線で、アルファ・ヴェノムの幹部たちが次々とボグダス・ジャベリンの特殊拘束具に縛られ、
動きを封じられた。
しかし――中央だけは、まだ終わっていなかった。
セバスチャンとイズミ。
互角。完全に互角の死闘。
セバスチャンの冷徹な拳と蹴りが、イズミの流麗で残酷な攻撃を辛うじて受け止め、
イズミの人格は女人格と男人格を高速で切り替えながら、セバスチャンを翻弄し続ける。
女人格のイズミは艶やかに笑い、
「ふふ……セバスチャン、あなたの拳、もっと優しくしてほしいわ……
フィオナ様なら、こんな素敵な男を――」
男人格に切り替わり、声が低く荒々しくなる。
「――潰して、泣かせて、スパッツに押しつけてやるのに!」
セバスチャンは一切の感情を殺し、拳を連打。
イズミのコートが裂け、ふたなりの下半身が露わになりかけるが、
イズミはそれを恥とも思わず、逆に股間の隆起を武器のように振り回す勢いで蹴りを放つ。
コンクリートの床はすでにひび割れ、
壁は崩れ、天井から破片が降り注ぐ。
セバスチャンの額から血が流れ、
イズミの口元からも血が滴る。
互いに息を荒げながら、なおも拳を構える。
「貴様……人格が変わろうと、
所詮はフィオナの操り人形だ」
イズミは女人格で甘く笑い、男人格で残酷に笑い、交互に答える。
「操り人形? 違うわ……私はフィオナ様の忠実な僕……
いや、フィオナの一部よ……
お前が倒しているのは、フィオナそのものなんだから」
セバスチャンは最後の力を振り絞り、突進。
イズミも同样に、全身の魔力を込めて迎え撃つ。
二人の拳が、真正面から激突した瞬間――
地下全体が轟音に包まれ、
巨大な衝撃波が広がった。
天井が崩落し、
視界が埃と破片に覆われる。
戦場に、静寂が訪れた。
セバスチャンとイズミは、
互いに拳を突きつけ合ったまま、
わずか数センチの距離で、
動きを止めた。
どちらも、立ち尽くしている。
どちらも、まだ倒れていない。
完全な、互角。
周囲のメンバーたちは、
幹部たちを拘束したまま、息を呑んで中央を見つめていた。
セバスチャンが、低く、静かに告げた。
「……今日は、ここまでだ」
イズミは女人格と男人格の声が混じり合い、
かすれた笑みを浮かべた。
「ふふ……そうね……
また会いましょう、セバスチャン……
次は、フィオナ様が直接、あなたを――」
セバスチャンはゆっくりと拳を下ろし、背を向けた。
「撤退」
ボグダス・ジャベリンのメンバーたちは、
拘束したアルファ・ヴェノムの幹部たちを連行し、
崩れゆく地下施設から順番に脱出を開始した。
イズミは一人、崩落する天井の下に立ち、
女人格で優しく、男人格で残酷に笑いながら、
その背中を見送った。
「フィオナ……フィオナ様……
まだ、終わっていないわ……」
ピジョン島の戦いは、
勝者なき決着を迎えた。
アイリスはすでにアウトオブクレセントへと運ばれ、
ボグダス・ジャベリンは貴重な捕虜を手に入れ、
アルファ・ヴェノムは真のリーダーであるイズミを失わなかった。
クレセントの天秤は、
再び、微妙に、淫靡に、
大きく揺れ始めた。
アウトオブクレセント・隠されたボグダス・ジャベリン臨時拠点。
荒野の奥、岩肌に偽装された格納庫の扉が静かに開き、高速艇が滑り込む。
イルミーゼとフレデリック・ギャビーはアイリスを支えながら甲板を降り、簡易ベッドが用意された医務室へと急いだ。
アイリスはボディスーツの裂け目を軽く手で押さえ、白い羽織を肩にかけ直しながら、弱々しく微笑んだ。
「……ここは……アウトオブクレセントの……拠点?
みんなの帰りを……ここで待つわ」
イルミーゼは黒髪を揺らし、頷いた。
「ええ。セバスチャンさんたちもすぐに合流します。
あなたはまず休んでください。
傷と淫紋の残滓、すぐに治療を始めます」
アイリスはベッドに腰を下ろし、遠くを見つめるように呟いた。
「……ありがとう。
でも……私はまだ戦える……
フィオナを……イズミを……止めるまで……」
一方、ピジョン島・崩壊寸前の地下施設。
戦場に静寂が戻った後、ボグダス・ジャベリンのメンバーたちは素早く行動に移った。
拘束されたアルファ・ヴェノムの幹部たち――レヴィリア、ギル、カタリナ、ゴルディロックス、ボブリスティ、ヴィヴィエッタ――は、特殊拘束具で完全に動きを封じられ、床に横たえられていた。
ミユシャリは白いレオタードの裾を払い、通信機に指示を出した。
「転送準備完了。
最強ドミニオン(SUDOM)・フレデリック要塞大監獄へ、直行テレポーテーション転送よ。
向こうはすでに受け入れ態勢済み」
ワドリナの機械義眼が赤く輝き、転送座標を最終確認。
空間が歪み、青白い光の渦が囚人たちを次々と包み込んだ。
レヴィリアは最後に悔しげに歯を食いしばり、
ヴィヴィエッタは朦朧とした瞳でミユシャリを見上げたが、
抵抗の余地はなく、六人全員が光の中に消えていった。
転送完了。
イェシバトーが茶髪を指で巻きながら、軽く息を吐いた。
「これで主要幹部は片付いたな。
残るはイズミだけか……」
セバスチャンは額の血を拭い、黒い戦闘服の裂け目を無視してメンバーを見回した。
額から滴る血が床に落ちるが、青い瞳は一切の揺らぎを見せない。
「……よくやった。
イズミとの決着は先送りとなったが、
これでアルファ・ヴェノムの戦力は大幅に削がれた。
撤収する」
ガレスは金髪を掻き上げ、無言で頷いた。
ミユシャリが明るく笑顔を浮かべ、拳を軽く握った。
「アイリスさんも無事脱出できたし、
今日は大勝利じゃない!」
メンバーたちは崩れゆく施設を後にし、待機していた別ルートの高速艇へ移動。
エンジンが轟音を上げ、ピジョン島は闇の海に置き去りにされた。
アウトオブクレセント・臨時拠点、医務室。
扉が開き、セバスチャンを先頭にボグダス・ジャベリンのメンバーたちがぞろぞろと入ってきた。
アイリスはベッドからゆっくりと立ち上がり、白い羽織を翻して全員を見回した。
乱れたボディスーツの裂け目から覗く肌と♡淫紋の淡い光が、静かな闘志を物語っている。
「……みんな……無事でよかった」
セバスチャンは一歩前に出て、静かに頭を下げた。
「遅くなった。
だが、君を無事に取り戻せた」
ミユシャリが駆け寄り、アイリスの手を握った。
「アイリスさん! 本当に……本当に良かった……!」
イェシバトーが茶髪を指で巻きながら、軽く笑った。
「まあ、派手にやらかした後だけどな。
これでまた一から反撃できるぜ」
ガレスは無言で拳を軽く握り、アイリスに視線を向けた。
アイナは銀の鎧を鳴らして敬礼し、
シェロン、ワドリナ、ニニギス、ホワイトノイズ、ミナもそれぞれ静かに頷いた。
アイリスは全員の顔を見渡し、微かに微笑んだ。
「……ありがとう。
あなたたちがいなければ、私は……
でも、もう大丈夫。
力が戻ってきたわ」
彼女は白い羽織を強く引き寄せ、冷たい瞳に再び鋭い光を宿した。
「フィオナ……イズミ……
アルファ・ヴェノムの闇……
今度こそ、すべて暴いて、終わらせる」
医務室に、ボグダス・ジャベリンとアイリスの静かな闘志が満ちた。
クレセントの希望は、
アウトオブクレセントの闇の中で、
確実に、再び燃え上がり始めていた。
フィオナの黒いスパッツが輝く世界は、
まだ揺れ続けていたが、
その天秤は、ゆっくりと、
こちら側へと傾き始めていた。
アウトオブクレセント・臨時拠点、広間。
岩肌に囲まれた簡素な会議室に、ボグダス・ジャベリンのメンバー全員が一堂に会した。
アイリスは治療を終え、新しい白い羽織を肩にかけ、ボディスーツの裂け目を修復した姿で中央の椅子に腰掛けていた。
淫紋の残光はまだ微かに残るが、瞳には確かな力が戻っている。
セバスチャンが最初に口を開いた。
「……アイリス。
君をあの島に長く留め置いたこと、救援が遅れたこと……
リーダーとして、深く謝罪する」
静かな声だったが、広間に重く響いた。
アイリスはゆっくりと立ち上がり、セバスチャンを見つめた。
瞳に涙が浮かぶ。
「……セバスチャン……
謝らないで。
あなたたちが来てくれなかったら、私は……
もう、戻れなかったかもしれない」
声が震え、涙が一筋、頬を伝う。
「みんなが……命をかけて助けに来てくれた。
本当に……ありがとう……
心から、感謝してる」
ミユシャリがそっとアイリスの肩を抱き、
アイナが銀の鎧を鳴らして敬礼し、
ガレスは無言で拳を握り、
ファリエルは目を潤ませながら小さく頷いた。
その沈黙を破ったのは、いつもの面々だった。
フレデリック・ギャビーがハイカラなコートを翻し、突然大げさに言った。
「いやぁ、しかしあのレヴィリアの巨尻スライムは芸術的だったね!
あれを拘束した瞬間、俺のコートがヌルヌルになってさ――」
ミナ・エウレカが青い髪を揺らして即座にツッコむ。
「ギャビーさん、それは自慢?
超念力でヘドロ押さえてた私は、全身真っ黒だったんですけど?」
イェシバトーが茶髪を指で巻きながら、にやにや笑う。
「俺はあのゴルディロックスのスライム化ボディが年齢フリーダムすぎてさ。
一瞬、二十歳の美女に見えて、ちょっとドキッとしたぜ」
シェロン・ジェラスが白髪を風になびかせ(室内なのに)、真顔で続ける。
「俺はギルの次元力に閉じ込められたとき、
一瞬自分の人生がフラッシュバックした。
……意外と短かった」
イルミーゼが黒髪を掻き上げ、ホワイトノイズに向かって言った。
「なぁホワイトノイズ、俺のビームでボブリスティのヘドロ焼き切ったとき、
お前あの白髪がヘドロまみれで、まるで現代アートみたいだったぞ」
ホワイトノイズは白髪を軽く払い、淡々と返す。
「……ありがとう。次はお前の黒髪をヘドロ染めにしてやる」
広間に、くすくすと笑いが広がった。
ワドリナの機械義眼が赤く光り、
ニニギスはマスクの下で小さく肩を震わせ、
ミユシャリは吹き出しながらアイリスの肩を軽く叩いた。
アイリスも、涙を拭いながら、初めて小さく笑った。
「……みんな……本当に、変わらないわね。
こんなときでも……
ありがとう」
セバスチャンはわずかに口元を緩め、
静かに言った。
「これが、ボグダス・ジャベリンだ」
そのニュースは、瞬く間にクレセント大地方全土を駆け巡った。
【速報】
ヴァーミリオン諜報機関本部長アイリス、奇跡の救出!
ボグダス・ジャベリンがピジョン島強襲
アルファ・ヴェノム主要幹部6名を拘束、最強ドミニオン・フレデリック要塞へ収監
真のリーダー“イズミ”のみ逃亡
メディアは大騒ぎになった。
・「クレセントの希望、復活!」
・「フィオナ体制に最大の打撃!」
・「V7の闇が暴かれるか――アルファ・ヴェノム壊滅近し」
SNSはアイリスの救出映像(ボグダス・ジャベリンが意図的に流したもの)で埋め尽くされ、
「#アイリス帰還」「#ボグダス最強」「#フィオナどうする」がトレンドを独占。
ブルー・ローズ統治庁、フィオナの執務室。
フィオナは黒いスパッツに赤いチャイナ服姿で、ホログラムニュースを眺めていた。
表面上は余裕の笑みを浮かべている。
「……ふふ、アイリスさん、無事だったのね。
よかったわ」
しかし、手に持ったグラスを握る指が、わずかに震えていた。
内心、冷や汗が背中を伝う。
(……レヴィリア、ギル、カタリナ、ヴィヴィエッタ……
みんな捕まった……?
イズミだけ逃げたって……
これは……かなり、ヤバい……)
ミエルテンガ総統府、マリーナ・ボビンの執務室。
マリーナは厳格な軍服姿で、机に置かれたタブレットを睨んでいた。
「……アイリスが……戻った……?
しかも、あのアルファ・ヴェノムを……
ボグダス・ジャベリンが……」
唇を噛み、拳を握る。
(フィオナ……あなたが言ってた“完璧な計画”は、一体……
これでV7の正当性が揺らぐじゃない……
まずい……本当に、まずいわ……)
二人はそれぞれの執務室で、
華やかな笑顔の裏で、
初めて本気の焦燥を味わっていた。
アウトオブクレセントの広間では、
アイリスが全員を見渡し、静かに宣言した。
「……これからが、本当の戦いよ。
フィオナを……イズミを……
そして、クレセントの闇を、すべて終わらせる」
ボグダス・ジャベリンのメンバーたちが、
一斉に頷いた。
クレセントの天秤は、
確実に、大きく傾き始めていた。
ミエルテンガ総統府・地下深部、円形大会議室。
重厚な鋼鉄の扉が閉ざされ、V7全首脳が一堂に会した。
マリーナ・ボビンは厳格な軍服に身を包み、円卓の中央に立つ。
ホログラムディスプレイに、アイリスの救出ニュースとアルファ・ヴェノム主要幹部収監の映像が繰り返し流れている。
マリーナの声は、いつもより低く、鋭く響いた。
「……諸君。
アイリスが戻った。
ボグダス・ジャベリンがピジョン島を強襲し、我々の最重要戦力をほぼ一掃した。
これは、単なる事件ではない。
トリニティ・アライアンスの宣戦布告だ」
フィオナは黒いスパッツに赤いチャイナ服姿で、隣の席に座っていた。
表面上は余裕の笑みを保っているが、指先がわずかに震えている。
マリーナはホログラムを一蹴し、赤い文字を投影した。
「本日より、V7は“コード・レッド”を発動する。
経済、軍事、情報、外交――あらゆる分野で完全結束。
クレセント大地方を、V7が永遠に凌駕し続ける体制を、今ここで確立する」
首脳たちは一瞬静まり返った後、
ブルー・ローズ、ファールージャ、アイアン・シンジケート、シュタルク三国、ファティマ連邦の代表が、次々と頷いた。
・巨額の共同投資ファンド設立
・V7統一軍の即時創設
・トリニティ・アライアンス諸国への経済制裁強化
・フィオナの“スパッツ外交”をさらに世界規模で展開
・アルファ・ヴェノムの残党(イズミ)を極秘裏に完全バックアップ
マリーナは拳をテーブルに軽く叩き、宣言した。
「我々は7か国。
人口、資源、技術、すべてにおいて優位にある。
トリニティの3国ごときが、永遠に我々に膝を屈するまで、
徹底的に圧倒する」
フィオナは立ち上がり、黒いスパッツの脚を軽く組み替えながら、微笑んだ。
「……同意よ、マリーナ総統。
アイリスさんが戻ってきたなら、
私も本気を出さないとね♡」
会議室に、V7首脳の固い決意が満ちた。
一方、ヴァーミリオン政府庁舎・最高会議室。
アザゼル・ヘクトパス首脳は、軍人らしい無骨な体躯をテーブルに預け、
SSレンジのアイク・ロペス、クロセヴィアのカスチーナ・テンペストとホログラムで対面していた。
壁には、トリニティ・アライアンスの青い紋章が輝いている。
アザゼルは低く、力強い声で告げた。
「……諸君。
V7が“コード・レッド”を発動したとの情報が入った。
奴らは本気だ。
ならば、我々も本気で応える」
彼は一枚のデジタル条約をホログラムに投影した。
・トリニティ・アライアンス3国の完全軍事統合
・連合軍総司令部をヴァーミリオンに設置
・ボグダス・ジャベリンを正式に連合軍特殊部隊に編入
・経済・技術・情報の完全共有
・V7に対する先制攻撃権の相互承認
アイク・ロペスが銀縁の眼鏡を光らせ、即座に署名。
カスチーナ・テンペストが金髪を優雅に掻き上げ、微笑みながら署名。
アザゼルが最後に、力強く指紋を押した。
「これにより、トリニティ・アライアンスは事実上の連合国家となる。
V7が7か国で結束したなら、
我々は3国で、だがより強固に結束する。
クレセントの均衡は、我々が守る」
三人は画面越しに固く握手を交わした。
ヴァーミリオン中央広場。
世界中のメディアが集中する中、
超高速ヘリがゆっくりと降下した。
扉が開き、
白い羽織を翻したアイリスが、まず姿を現した。
修復された青いボディスーツに、背中のジッパーが輝き、
淫紋の残光はすでに消え、瞳には冷たく強い光が宿っている。
続いて、セバスチャン・ヴァレリウスを先頭に、
ボグダス・ジャベリンのメンバー全員が降り立つ。
ミユシャリが明るく手を振り、
ガレスが無言で周囲を睨み、
イェシバトーが茶髪を巻きながら笑い、
アイナが銀の鎧を鳴らして敬礼。
広場に集まった数万人の市民が、割れんばかりの歓声を上げた。
「アイリス! アイリス!!」
「ボグダス! 最強!!」
「クレセントの希望が戻った!!」
メディアのカメラが無数にフラッシュを焚き、
全世界に生中継された。
アイリスはゆっくりとマイクの前に立ち、静かに、しかし力強く語った。
「……皆さん、ただいま戻りました。
私を救ってくれたボグダス・ジャベリンの皆さんに、
心からの感謝を。
そして、クレセントの平和を脅かす者たちに、
宣言します。
私たちは、決して屈しない。
正義は、必ず勝つ」
広場が再び歓声に包まれた。
フィオナはブルー・ローズの執務室でその映像を眺め、
黒いスパッツの脚を組み替えながら、唇を噛んだ。
マリーナはミエルテンガで、同じ映像を見て、拳を握りしめた。
世界は、二つの巨大勢力の対立を、
息を呑んで見守っていた。
クレセント大地方は、
今、歴史的な転換点を迎えていた。
アイリスの凱旋は、
トリニティ・アライアンスの象徴となり、
V7の“コード・レッド”に対する、
最も強烈な回答となった。
ヴァーミリオン政府庁舎・最高会議室。
重厚な円卓を囲む高官たちの前に、アイリスは静かに立っていた。
修復された青いボディスーツに白い羽織を肩にかけ、背中のジッパーが静かに光る。
淫紋の痕は完全に消え、瞳には冷たく澄んだ決意が宿っていた。
アザゼル・ヘクトパス首脳は、軍人らしい無骨な体躯を椅子に預け、
ゆっくりと口を開いた。
「……アイリス。
君に、ヴァーミリオンの首脳の座を譲る。
トリニティ・アライアンスの中心として、クレセントの均衡を守るのは、
もう君しかいない」
高官たちは一瞬息を呑んだが、誰も異議を唱えなかった。
ピジョン島からの奇跡の救出、ボグダス・ジャベリンの強襲、
そしてV7の“コード・レッド”に対する凱旋――
アイリスの存在は、もはや伝説を超えた現実だった。
アイリスは静かに頭を下げ、受け入れた。
「光栄です、アザゼル首脳。
ヴァーミリオンの未来を、私が守ります」
その直後、彼女はいきなり切り出した。
「――そして、すぐにブルー・ローズのフィオナと会談したい」
会議室がざわついた。
「フィオナと……ですか?」
「V7の急先鋒、あの女と今会うのは時期尚早では……」
「危険すぎる。罠の可能性も――」
高官たちの動揺が広がる中、アイリスは微動だにしなかった。
ただ、静かに、しかし確実に告げた。
「罠であろうと関係ありません。
私は、フィオナと直接話す必要があります。
クレセントの未来を決めるのは、逃げ腰の外交ではなく、
正面からの対決です」
その言葉に、高官たちは沈黙した。
誰も、彼女の瞳の強さを前に、反対できなかった。
――数日後。
ボグダス・ジャベリンは、全員がヴァーミリオンに恒久駐在することになった。
セバスチャン・ヴァレリウスを筆頭に、ミユシャリ、ガレス、アイナ、
フレデリック・ギャビー、ミナ・エウレカ、イェシバトー、シェロン・ジェラス、
イルミーゼ、ホワイトノイズ、ワドリナ、ニニギス、ファリエル――
全員が、ヴァーミリオン中央に新設された特殊部隊拠点に移り、
トリニティ・アライアンスの最前線として機能することになった。
セバスチャンはアイリスに静かに告げた。
「我々は、君の剣だ。
どこへでも、共に進む」
アイリスは小さく微笑み、頷いた。
「……ありがとう、セバスチャン。
これで、私たちは完全に一つになったわ」
そして――世界が注目する日が訪れた。
ヴァーミリオン中央広場に隣接する、厳重警備の中立会議場。
トリニティとV7の両陣営が認めた、唯一の直接対話の場。
巨大なガラスドームの下、円卓を挟んで二人が向かい合った。
アイリス。
白い羽織を翻し、青いボディスーツに背中のジッパーが輝く、
クレセントの新希望。
対するフィオナ。
赤いチャイナ服に黒いスパッツという、相変わらずの妖艶な装い。
腰に手を当て、余裕たっぷりの笑みを浮かべ、
股間部分がわずかに湿って光る――スライムヒルを吸わせたまま、
堂々と座っていた。
世界中のメディアが生中継し、
クレセント大地方全土の市民が息を呑んで見守る中、
アイリスが静かに口を開いた。
「……フィオナ。
久しぶりね」
声は穏やかだった。
かつて、ヴァーミリオンやミエルテンガで理想を語り合った頃の、
優しい響きが残っている。
「覚えてる?
あなたはいつも、私に言ってたわよね。
『クレセントの未来は、女性の力で変えられる』って。
一緒にマリーナ総統を支えて、
腐った男社会を浄化して、
理想郷を作ろうって……
あの握手、あの笑顔――
全部、懐かしいわ」
フィオナはくすりと笑い、
脚を組み替えて鼠径部を軽く押さえ、
甘い吐息を漏らした。
「んっ……ふふ、もちろん覚えてるわ、アイリスさん♡
あの頃のあなた、本当に純粋で可愛かったもの」
アイリスの瞳が、わずかに細められた。
声の温度が、ゆっくりと下がっていく。
「でも……その理想は、どこへ行ったの?
あなたは今、ブルー・ローズを私物化して、
スパッツとヒルで男たちを夢中にさせ、
V7の尖兵となって、クレセントを支配しようとしてる」
フィオナは肩をすくめ、
ヒルの刺激に腰をくねらせながら、
余裕の笑みを崩さない。
「支配? 違うわよ。
私はただ、女性が上に立つ世界を、
もっと早く実現してるだけ♡
あなたが失踪した隙に、
みんな私のスパッツに跪いたの。
それが現実よ」
アイリスの声に、静かな怒りがにじみ始めた。
「……あの島で、あなたは私を嘲笑った。
私の前で鼠径部を突き出して、
『これが新しい主人よ』って。
クレセントの希望だった私を、
ただの雌に貶めて、悦んでたわね」
フィオナは目を細め、
甘く囁いた。
「ええ、最高に興奮したわ♡
あなたが私のスパッツの前で震えてる姿……
忘れられないもの」
アイリスはゆっくりと立ち上がった。
白い羽織がはためき、
瞳に冷たい炎が宿る。
「フィオナ……
あなたが裏切った理想、
あなたが汚したクレセント、
あなたが私にした屈辱――
全部、取り戻すわ」
声は静かだったが、
会議場全体に響き渡った。
「私は、あなたを……
絶対に、潰す」
フィオナは一瞬だけ、笑みを深くした。
しかし、その瞳の奥に、
わずかな――冷や汗が光った。
世界は息を呑んだ。
二人の女王の対決は、
言葉によって、
ついに始まった。
ヴァーミリオン中央・中立会議場、ガラスドームの下。
円卓を挟んだ二人の女王の間に、静かな緊張が張り詰めていた。
フィオナはゆっくりと腰を浮かせ、
黒いスパッツの股間部分に吸い付いていた3センチほどのスライムヒルを、
指先で軽くつまみ上げた。
ぺりっ……ちゅぽっ。
ぬるりと剥がれたヒルは、
彼女の指の動きに合わせて空中を弧を描き、
床の隅へと吹っ飛ばされた。
小さな音を立てて転がるヒルを見て、
フィオナは満足げに唇を舐めた。
「ふふ……もういいわ。
会談の場でヒル吸わせてるのも、
ちょっと刺激が強すぎたみたい♡」
彼女は腰に手を当て、
赤いチャイナ服の裾を軽く払いながら、
余裕たっぷりの笑みをアイリスに向けた。
「アイリスさん……
あなたには、負ける気が一ミリもしないわ」
声は甘く、しかし冷たく響く。
「V7が本気になれば、
トリニティ・アライアンスなんて、
たった1日で壊滅できるのよ。
人口、資源、軍事力、経済――
すべてにおいて、私たち7か国はあなたたち3国を圧倒してる。
コード・レッドは、まだ本気を出してないだけ♡」
会議場の空気が、凍りついた。
世界中の生中継カメラが、
フィオナの宣言を余すことなく捉えていた。
アイリスの瞳が、鋭く光った。
白い羽織の肩がわずかに震え、
静かな怒りが声ににじむ。
「……やってみろ、フィオナ」
言葉は短く、しかし確実に、
会議場全体に響き渡った。
「V7が本気で来るなら、
私たちも本気で迎え撃つわ。
1日で壊滅?
笑わせないで。
クレセントの均衡を、
あなたたちごときが崩せるとでも思ってるの?」
アイリスは一歩前に出ようとした。
その瞬間――
会議場の扉が静かに開き、
セバスチャン・ヴァレリウスが入ってきた。
黒いコートを翻し、
冷静な瞳で二人を見据える。
彼は無言でアイリスの横に立ち、
軽く手を上げて制止した。
「……アイリス。
ここは会談の場だ。
感情に任せては、相手の思う壺だ」
アイリスは唇を噛み、
一瞬だけセバスチャンを見た後、
ゆっくりと息を吐いた。
「……わかってる、セバスチャン」
フィオナはくすくす笑い、
椅子に深く腰を沈め直した。
「ふふ……ボグダスのリーダーまで出てきたのね。
まあ、いいわ。
今日はこれくらいにしておく♡
でも、覚えておいて。
私の言葉は、脅しじゃない。
ただの、事実よ」
会談はそこで終了した。
世界は、フィオナの“1日壊滅宣言”に、
大いに沸き立った。
――後日。
SSレンジ発行、世界最高権威の情報誌「VITE TIME」最新号。
表紙を飾る大見出しは、こうだった。
1位 アイリス(ヴァーミリオン首脳・トリニティ・アライアンス指導者)
2位 フィオナ(ブルー・ローズ統率者・V7急先鋒)
3位 マリーナ・ボビン(ミエルテンガ総統)
4位 セバスチャン・ヴァレリウス(ボグダス・ジャベリンリーダー)
5位 カスチーナ・テンペスト(クロセヴィア首脳)
前回のランキングで1位だったフィオナが2位に転落。
代わって、アイリスが圧倒的得票で1位に返り咲いた。
特集ページには、
アイリスの凱旋映像、フィオナとの会談での鋭い視線、
そして「やってみろ」という一言が、
大きく取り上げられていた。
記事の見出しは、こう叫んでいた。
SNSは瞬く間に炎上した。
#アイリス1位
#フィオナ転落
#クレセント決戦
#やってみろ
が世界トレンドを独占。
トリニティ側は歓喜に沸き、
V7側は苛立ちと焦りを隠せなかった。
フィオナはブルー・ローズの執務室で、
「VITE TIME」のホログラム誌面を眺め、
黒いスパッツの脚を強く組み替えた。
「……アイリスさん……
まだ、こんなに人気なのね」
唇を噛み、
しかしすぐに妖しい笑みを浮かべる。
「いいわ……
もっと、興奮してきた♡」
一方、ヴァーミリオンの首脳執務室。
アイリスはランキングを見て、
静かに微笑んだ。
「……これで、みんなの気持ちがわかったわ」
セバスチャンが隣で静かに告げた。
「民意は、君についている。
次の一手は、こちらだ」
アイリスは頷き、
窓の外に広がるヴァーミリオンの街を見下ろした。
「ええ……
フィオナ、本気で来るなら、
私たちも本気で迎え撃つ」
クレセント大地方は、
二人の女王の対決が、
ますます熱を帯びていくのを、
息を呑んで見守っていた。
歴史的な転換点は、
確実に、近づいていた。
SSレンジ首都ウィトヴィア・首脳専用会議棟。
重厚な鋼鉄の扉が静かに閉ざされ、
円卓にはトリニティ・アライアンスの三首脳が揃っていた。
ヴァーミリオン新首脳 アイリス。
白い羽織を肩にかけ、青いボディスーツの背中ジッパーが静かに光る。
クロセヴィア首脳 カスチーナ・テンペスト。
金髪を優雅に掻き上げ、穏やかな微笑みを浮かべている。
SSレンジ首脳 アイク・ロペス。
銀縁の眼鏡を光らせ、穏やかだが鋭い視線で資料を眺めている。
そして、元ヴァーミリオン首脳 アザゼル・ヘクトパスも同席。
軍人らしい無骨な体躯を椅子に預け、静かにアイリスを見つめていた。
アイクが最初に口を開いた。
「……アイリス首脳。
ヴァーミリオンのトップに就任、おめでとうございます。
ピジョン島からの帰還、そしてフィオナとの会談でのあの毅然とした態度――
クレセント全土が、あなたに熱狂しているのも当然です」
カスチーナも柔らかく頷いた。
「本当に素晴らしいわ、アイリス。
あなたが戻ってきてくれたことで、トリニティは完全に一つになった。
V7のコード・レッドに対しても、私たちはもう恐れる必要がない」
アザゼルは低く、力強い声で続けた。
「俺からも言わせてもらおう。
アイリス、君は間違いなくヴァーミリオン史上最高の指導者になる。
いや、すでにそうだ。
あの島で受けた屈辱を跳ね除け、
ボグダス・ジャベリンを率いて帰還し、
フィオナの挑発に一切怯まなかった姿――
俺が何十年と見てきた指導者の中で、君以上の者は一人もいない。
太鼓判を押す。君は、クレセントの歴史に名を刻む」
アイリスは静かに頭を下げた。
「……ありがとうございます、アザゼル首脳。
そしてアイク首脳、カスチーナ首脳。
皆様のおかげで、私はここに立てています」
アイクが眼鏡を押し上げ、微笑んだ。
「同意だ。アザゼルの言う通り、君は最高の指導者だ。
SSレンジとしても、全面的に支援する」
カスチーナも優しく目を細めた。
「私も全く同じ意見よ。
アイリス、あなたは私たちの希望そのもの」
四人の間に、静かだが確かな信頼が満ちた。
――その時。
会議室の側扉が静かに開き、
一人の女性が姿を現した。
長い黒髪を肩に流し、
ヴァーミリオン諜報機関の制服を着たままの――
エレナ。
彼女は最近、
ヴァーミリオン諜報機関本部長 → 副本部長 →
ミエルテンガ諜報機関への出向を経て、
V7の動きを探るため、アイクの私邸に極秘潜伏していた。
エレナは一瞬、アイリスを見つめると、
瞳に涙を浮かべ、駆け寄った。
「アイリス……!!」
そして、強く、強く抱きしめた。
「本当に……本当に戻ってきてくれた……
生きてて……よかった……!!」
声は震え、頬を涙が伝う。
泣き顔のまま、嬉しさが溢れていた。
アイリスは驚いたが、すぐに優しくエレナの背中を撫でた。
「……エレナ。
久しぶりね。
あなたこそ、無事でよかった」
エレナは顔を上げ、涙を拭いもせずに笑った。
「私……ずっと心配してた。
失踪のニュース見てから、毎日祈ってたの。
でも、あなたなら絶対戻ってくるって信じてた……
やっぱり、アイリス本部長は最強だわ……!!」
アイクが苦笑しながら言った。
「エレナ君、潜伏任務中だったのに、感極まりすぎだ。
まあ、気持ちはわかるが」
カスチーナもくすりと笑い、
アザゼルは無言で頷いた。
エレナはアイリスから少し離れ、
涙を拭いながら敬礼した。
「これからは、また一緒に戦えます。
ヴァーミリオンの諜報、そしてトリニティ全体のために――
私の命に代えても、アイリス首脳をお守りします」
アイリスは静かに微笑み、
エレナの肩に手を置いた。
「……頼もしいわ、エレナ。
これからも、よろしくね」
会議室に、
温かな空気が広がった。
トリニティ・アライアンスは、
指導者たちの絆によって、
さらに強固なものとなっていた。
V7の影が迫る中、
希望の灯は、ますます明るく輝き始めていた。